重要な商談の場で、相手が何を考えているのかわからずに、困惑してしまう経験は誰にでもあるだろう。心理学ではこれまで、相手の仕草(しぐさ)や表情、服装などと同様に、「相手の声」に着目した研究も数多くなされている。それらの論文をヒントに、商談時での相手の声から読み取れる心理状況や、自分はどのような「声」で話すのが有効なのか等、「商談時の声」について考察してみた。(AKTANA International LLC プリンシパルコンサルタント 高橋洋明)
商談時の相手の声から
相手の心理状態を推測する
前回の記事『プレゼンや商談で緊張しても必ず成功する人は何が違うのか』では、商談時に緊張したり、プレッシャーがかかる場面で自分自身を適切に扱う方法をお伝えした。それらの方法はどれも極めて有効なので、ぜひ活用いただきたい。活用し続けることで、あなたのコミュニケーションセンスが磨かれていくだろう。
ビジネスでも役立つコミュニケーションを身に付けるには、一朝一夕にはいかないかもしれない。一方、このセンスを教わっただけでは、すぐ感覚的につかめる人もたくさんいる。こればっかりは試してみなければわからないが、素直に試して見てほしい。それをやり続けた人だけがコミュニケーションのセンスを磨けているというのも事実だからだ。
とはいえ、商談においては会社や上司から一刻も早く「結果」を出すことを求められる。
特に業務上、切羽詰まっているときは、コミュニケーションのセンスを磨くことに時間をかけていられない。
ただし、そのような場面で、商談に役立つさまざまな知識さえ知っていれば、商談時にいろいろな展開があっても「あ、これはこの前学んだあの話が役立つかも」などと思い起こすことができる。そして、商談の場面で起こっていることをより正確に把握することができる。それができれば、あなたの心に余裕が生まれ、商談で焦らなくて済む。
その「余裕」こそが、重要であり、あなたの商談を成功に導いてくれるだろう。