完成検査などの不正を起こしたSUBARU(スバル)が信頼回復へもがいている。自動車業界の激変期を切り抜けるべく、急加速したいところだが、品質管理徹底のために足踏みを強いられている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

 スバルでは近年、急成長に伴う“ひずみ”が次々と露呈した。

 2017年に資格のない従業員が新車の完成検査を行っていたことが発覚し、その調査の過程で燃料・排ガスの測定値の改ざんも判明。「安全・安心」のブランド価値を大きく毀損することになった。

 ひずみは財務に如実に表れている。図1を見てほしい。売上高が6年間で2.2倍の伸びを示したにもかかわらず、従業員数は微増にとどまっている。同時期に、スバルは設備投資額を2.6倍に増額。省人化投資を積み増すことで、要員不足を乗り切ろうとした。

 だが、ふたを開けてみれば、投資の仕向け先は増産のための設備増強が中心で、製造現場の労働環境の改善や、品質維持は後手に回った。

 これでは製造現場にしわ寄せが行き、検査がなおざりになっても不思議ではない。