身の丈を超えた拡大主義が、リコールの増加につながったのだ(図2)。

 スバルは不正の再発を防ぐため、当面は低成長に甘んじる覚悟だ。中村知美社長は「私が攻めようと号令を掛けると社員は無理をする。検査体制が万全となり、自信を持って生産ピッチを上げられるまでは頑張ろうとは言わない」と言う。

 具体策も打ち出した。品質管理を徹底するために5年間で1500億円の投資枠を設け、人材確保や空調の整備、工場での問題を検知する監視カメラといった“守り”の投資を現場がちゅうちょなく実行できるようにした。

 18年7月に発表した中期経営計画目標も事実上、断念する。「18~20年度の3ヵ年の累計で営業利益9500億円」とした当初目標を棚上げするのだ。岡田稔明・最高財務責任者(CFO)は、「利益拡大のペースを落とす。最終の20年度に、同3200億円(累計目標の単年度平均)を達成できればよい」と言う。

 かつて営業利益率17.5%(15年度)をたたき出していたスバルからすれば、同9.5%の利益目標は控えめに映るが、現下の逆風を踏まえれば容易な数字ではない。

 最大の逆風はコストの上昇だ。鉄やアルミニウムの価格上昇と、自動車の電動化や燃費向上技術の開発費がのしかかる。中計で18%増やすことにした試験研究費は確実に利益を圧迫する。

 コスト削減の余地は限られるため、スバル復活は増収でしか成し遂げられない。

 販売台数の7割を占める最重要市場の北米が業績を下支えしている。18年は日本国内が前年比16%も落ち込んだが、世界の販売台数を維持できたのは北米のおかげ。しかし、スバルの米国成長率にも陰りが見え始めた。

 スバルは米国以外の市場開拓をもくろむが、それを阻む二つの問題がある。

 一つ目は、四輪駆動など走行性を重視するスバル車の特性上、燃費効率が悪く、環境規制をクリアできる市場が限られることだ。

 スバルは、北米に加えて、豪州やロシアを成長市場として位置付ける。だが、それらはいずれも欧州より燃費やCO2排出量の規制が緩い国。環境基準の甘さに依存した販売戦略が長期的に有効なのか疑問を禁じ得ない。