一時的な給付では間に合わない
災害後に生活保護はどうなる?

 自治体ごとの生活保護世帯数および人員数は、多くの災害で、「いったん減少→増加→……→減少」というパターンをたどる。

 発災後の「いったん減少」の背景として挙げられるのは、まず災害そのものによる死亡や災害関連死だ。全国で、生活保護世帯のおおむね70%を高齢者・障害者・傷病者、すなわち「災害弱者」が占めていることを考えると、全く不思議ではない。地域の大半が被災した場合には、遠隔地の仮設住宅やアパートへの転居を余儀なくされ、その地域からいなくなることもある。

 また、単身生活していた高齢者が、災害を契機に、血縁者と同居する場合もある。災害によっては、生活保護費以上の月々の賠償金などが支払われ、生活保護を必要としなくなる場合もある。災害時の見舞金・義援金・賠償金は収入認定されない原則だが、保護費以上の金額が毎月、長期に給付される場合は、生活保護は打ち切りとなる可能性がある。

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 しかし、災害に対する給付や手当の多くは、長くとも数年で終わる。発災時には就労していた人々も、時間とともに高齢化し、傷病や障害を抱える。すると必然的に、生活保護へのニーズが高まる。

 増加してから長い時間の後で減少に転じる背景は、主に高齢化だ。高齢者施設に入居するために地域を離れ、あるいは寿命を迎え、「その地域の生活保護」からは消える。

 災害は確実に、生活保護との間の距離を縮める。災害による生活基盤へのダメージは、ジワジワと長い時間にわたって残り続ける。最後に生命と生活を支える基盤は、生活保護しかない。

 防災インフラとしての生活保護がなくなったら、次に災害が襲うとき、自分と家族と地域を何が支えるのか。ぜひ、思考実験していただきたい。

(フリーランス・ライター みわよしこ)