「確定拠出年金」の運用で定期預金や保険を選んでしまう理由Photo:PIXTA

多すぎて選べない弊害

 企業年金の1つに「確定拠出年金」という制度がある。2001年10月にスタートして以来、今では加入者の数が690万人(18年12月末)に増加し、公的年金を補完する企業年金の中でも重要な老後資産形成制度になりつつある。

 この制度は、加入者である従業員が自分で年金資産を管理運用する制度だが、退職金制度だから掛け金を出すのは原則として会社だ。もちろん、会社の掛け金に上乗せして個人が掛け金を出すことができる制度も12年から始まっているが、基本は会社の退職給付制度であることは間違いない。

 では、加入者690万人の運用状況は一体どうなっているのだろう。さまざまな機関がアンケート調査などを行なっているため、データによって多少の違いはあるが、全体で見れば大ざっぱに元本確保型である定期預金や保険商品と、投資信託などの価格変動商品は大体半々ぐらいのようだ。

 もちろん、確定拠出年金を何で運用するかは加入者自身の判断で選ぶものだから、この結果がいいとか悪いとかいうものではない。ただ、筆者はかつて確定拠出年金の運営管理業務をやっていたことがあり、その際、加入者にアンケートを取ったところ、「自分がどのような商品で運用しているか知っているか?」という問いに対して「よく知らない」と答えた人が3割近くいた。