価格上昇でも質は低下
販売戸数低迷の原因

 とはいえ、かつてと比べれば発売戸数は大幅に減少。2001~05年に8万戸台だった首都圏新築マンション発売戸数も2018年には3.7万戸と、かつての半分以下の水準となった。

 2012年の民主党から自民党への政権交代以降、上昇を続けてきた新築マンション市場は、アベノミクスによる量的緩和や低金利の追い風を受け底上げされたのは間違いないが、都心、駅近といった売れ筋の、値が張るマンションの比率が高まり、「郊外」「駅遠」「小規模」といった相対的に割安なマンションの比率が低下したことも大きい。

 いずれにしても2018年の平均契約率は62.1%と、好不調の目安である70%を3年連続で下回っている。リーマンショックの2008年は62.7%、バブル崩壊の1991年は58.3%だった。

 売れ行きを悪化させているのには、新築マンションの「質の低下」もある。市場を定点観測している筆者から見れば、かつて3LDKといえば70m²台が当たり前だったのが、今では60m²台が主流となっている。また、キッチンなどの設備や、エントランスなどの共用部分がかつてよりチープになるといった現象が顕著だ。

 自動車保有率が低下し、共働き世帯が増加し続けるなかで、居住快適性や空間の広さより圧倒的に「都心までの距離」「駅からの距離」といった利便性、つまり「時間」が重要視される昨今、首都圏平均で5871万円、都区部に至っては7142万円(不動産掲示研究所)と、価格水準は確実に上がっている。グロス(物件総額)は上がっているのに、建設コストを低減させるために質を落とすといった状況も、売れ行き悪化の一因ではないかと筆者は考えている。

 加えてブレグジットや日中貿易戦争など、世界の政治経済には不透明感が漂う。夏には参議院議員選挙、10月には消費増税が控えるなどイベントが盛りだくさんだが、新築マンション購入で住宅ローンを利用する場合には、引き渡し時の金利が適用される。大規模マンションやタワーマンションなどは契約から引き渡しまで2年以上かかるといったことも珍しくないが、数年先の金利動向を予想するのは困難であることも、購入をためらう一因となっているのだろう。