4月12日までに英議会は、メイ首相がまとめた協定案をのむしかないのか。

 だがこれが決まるなら、もともと議会の混乱など起きてはいない。

「新たな選択肢」が浮上している。「国民投票をもう1度」である。

 袋小路に追い込まれた英議会に残された1つだけの逃げ道。誰か知恵者が仕組んだ戦略のような気がする。

「政府や議会がだめなら
もう1度、国民の判断を」の声

 国民投票は2016年6月に行われ、離脱賛成が51%を獲得、僅差で決まった。

 英政府は、投票結果を尊重し、17年3月、リスボン条約の定めに従いEUに「離脱」を表明。2年以内に英・EUが混乱なく離別する新たなルールを定めることになった。

 その役を担ったのが、メイ首相である。

 交渉に全力を注ぎ、集大成が「離脱協定」だった。

 2年かけて、次のことが分かった。

 ◆キレイさっぱり別れると、アイルランド国境問題や貿易関税など英国に困ったことがたくさん起こる

 ◆英国の国益を大事にすると、離脱は形式的なものになる(これは実ははじめから分かっていたことだ)

 ◆政府・議会は、離脱問題を解決する能力がない

 ◆与党・保守党は穏健離脱派と強硬離脱派に分裂した。メイ首相は指導力を発揮できない

 そこで「議会や政府がだめならもう1度、国民の判断を聞こう」という動きが勢いを増しているのだ。

 23日、ロンドンで「2度目の国民投票」を求める「100万人デモ」があった。

 誰も正確な人数を測ることはできなかったが、ハイドパークからバッキンガム宮殿、国会議事堂前まで道路を埋め尽くし、イラク参戦反対のデモ以来の大規模な大衆行動とメディアは報じた。