老後資金準備には個人年金が
ベストと思ってしまうのはなぜか?

「友人が、老後の資産形成のために、個人年金に加入しました。私も老後のことを考えて、個人年金保険に入るべきか迷っています」(36歳・製造業)

「まず考えてみてほしいのは、『周囲の人の判断に倣っていいのだろうか』ということです」と後田氏。

「こう言っては何ですが、素人の判断であれば、参考にしないほうがよいかもしれませんよね。『皆、どうしているだろうか?』ではなく、『皆と同じでいいのか?』と自分の頭で考えてほしいのです」

 そして、保険商品を検討する際に気をつけてほしいのが、そのネーミングだという。

「個人年金保険と聞くと、いかにも、老後の準備にぴったりの商品をイメージしますよね。しかし、この保険の中身は、『元本割れ期間付き長期国債投資』とでも呼びたいものです。主に国債で運用され、金利が低く手数料が高いため、元本割れ期間が長い。でも、投資と名が付くだけで敬遠する人もいます。そういう意味では、個人年金保険というネーミングは巧妙ですよね」

 人間はややこしく複雑なことに直面すると、頭の中でそれを深く思考することなく、イメージや経験則によって瞬間的に判断しようとする力が働く。これを行動経済学ではヒューリスティックと呼ぶ。

「学資保険もそうです。個人年金と同様、主に国債で運用している保険商品ですが、学資保険という名前がつくだけで、直感的に子どものための保険だとイメージしてしまいます。消費者にはネーミングに惑わされず、いったん立ち止まって『どんな仕組みなのか』と、考えてみてほしいです」

 そもそも、ライフイベントに合わせた有利なお金の増やし方があるのか?と、自分に問いかけてみるべきなのだ。

 金融商品は目に見えない。だからこそ、契約・購入する際には、いつも以上に注意する必要がある。たとえ「これはいい保険だ」と直感的に思っても、それは間違っている可能性がある。一度距離を置き、行動経済学なども参考にしつつ、自分が非合理的な判断をしようとしていないか、考えてみることが大事なのだ。