「企画プレゼンが通らない」「営業先の反応が弱い」「プレゼン資料の作成に時間がかかる…」など、プレゼンに関する悩みは尽きません。そんなビジネスパーソンの悩みに応えて、累計18万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』シリーズの最新刊『プレゼン資料のデザイン図鑑』が発売になりました。この連載では、同書のコンテンツを紹介しながら、著者・前田鎌利氏がソフトバンク在籍時に孫正義社長から何度も「一発OK」を勝ち取り、ソフトバンク、ヤフーをはじめ約600社に採用された「最強のプレゼン資料作成術」のエッセンスをお伝えします。

知らないと損!心をつかむプレゼン資料の「シンプルな鉄則」【20秒動画レッスン】

「グッとくるスライド」はどこが違うか?

 早速ですが、この約20秒の動画をご覧ください(お急ぎの方は、この動画だけご覧いただいてもポイントを把握いただけます)。

 いかがでしょうか?

 改めて、ビフォー・スライドを見てみましょう。

ビフォー・スライド

 動画でもお伝えしたように、このスライドがいまいちグッとこない最大の原因は、写真が小さいからです。「美味」というテキストをしっかり見せるために、白のスペースをつくっていますが、そのためにせっかくの写真のパワーを生かさないのはもったいないですよね? 下図のように、写真を全画面で使って、そのうえにテキストを大きく表示するのが正解なのです。

写真はできるだけ大きく使う!

 社内プレゼンでは、このように写真を使う必要性がある局面は少ないですが、社外プレゼン(営業プレゼン、コンペ、説明会など)では、聞き手の感情に訴えかけなければなりませんから、論理的思考を得意とする左脳だけではなく、直感的に物事を把握することに長たけた右脳を刺激するスライドをつくる必要があります。

 そして、右脳を刺激するのは写真などのビジュアルです。これをいかに上手に活用するかによって、社外プレゼンの効果には雲うん泥でいの差が生まれます。先ほどのスライドであれば、寿司の写真を大きく表示するだけで、「美味しそう!」「寿司食べたい!」と心が動かされます。このように「感情を刺激すること」が重要なのです。

 そのためには、写真をできるだけ大きく使うのが鉄則。写真は全画面が基本だと考えてください。写真の上下左右に余白ができると、それだけで迫力がなくなりますから、必ずスライドの四囲で裁ち落としになるようにします。

 もちろん、写真の構図その他の理由で、全画面表示ができない場合もあります。その場合には、先ほどのビフォー・スライドのように、「画像=左」「テキスト=右」に置くようにしてください。連載第1回でもお伝えしたように、人間の脳は、左側から脳にインプットされる情報はビジュアル処理が得意な右脳へ、右側からインプットされる情報は文字情報の処理が得意な左脳に届くからです(下図参照)。

「画像=左」「テキスト=右」

  ぜひ、皆さんも写真を効果的に使ったプレゼン資料をつくってください。プレゼンに対する反応が確実に変わっていくことを実感されるはずです。

知らないと損!心をつかむプレゼン資料の「シンプルな鉄則」【20秒動画レッスン】
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1 期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業社、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。