見た目の豪華さに惑わされてはいけない
次に、この年代の中古タワーマンションの購入で気をつけたいのが、バブル期を彷彿させる見た目の豪華さに惑わされてしまうことです。
お子さんが独立され、50代後半でこの年代のタワーマンションを購入した石田さんご夫妻。「当時あこがれていた億ションに住めるなんて夢のようだと思っていたのですが……」と表情は冴えません。
「エレベーターの設置台数が少なく、朝の混雑時にはエレベーターになかなか乗ることができません。ゴミ置場が各階にないのも不便で。共用施設も魅力的なものはなく、ほとんど使うことはありません」
タワーマンションや大規模マンションの醍醐味ともいえる共用施設の内容は、時代とともに変わっています。それどころか管理費等の設定は高経年の高級マンションほど高い傾向にあります。そのため、施設は陳腐化していないか、実質的な機能性はどうかなどの確認が必要です。
また、エレベーターの停止階が限られるなど、セキュリティ対策がなされているかも、押さえておくべきでしょう。
日下部 理絵(くさかべ・りえ)
マンショントレンド評論家・マンション管理士
大学在学中の2001年に実施された第1回マンション管理士・管理業務主任者試験に合格。マンション管理会社勤務を経て、マンションの総合コンサルタント事務所「オフィス・日下部」を設立。女性ならではの視点で、マンション管理組合の相談や顧問業務にあたる。また、数多くの調査を通じて、中古マンションの実態に精通する。テレビ・ラジオなどのメディアや、講演会・セミナーでも活躍中。
主な著書等に、『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)、『負動産マンションを富動産に変えるプロ技』(小学館)、『マンション管理と修繕 最強ガイド2019』(東洋経済新報社)などがある。