今、中古マンションに熱い視線が注がれています。新築マンションの価格が高騰し過ぎて、手に届きにくくなっていることから、消費者の目がにわかに中古物件に向いているからです。1月に『マイホームは価値ある中古マンションを買いなさい!』(ダイヤモンド社)を上梓した著者の日下部理絵さんは、これまでに1000棟以上の物件を見てきたマンション管理のプロフェッショナル。日下部さんいわく、中古マンションは「値下がりしにくい価値ある物件」を選ぶのが賢い選択とのこと。では、どんな物件を選ぶのがいいのか? そのポイントをわかりやすく解説します。 

1990年代の中古マンションには、どんな特徴があるの?写真はイメージです
 

生活に便利なプラス機能や住宅設備機器の改善がされた時期

 1990年代は、前半と後半でマンショントレンドが変わります。

 1991年にバブルが崩壊すると景気低迷によりマンションの価格も下がりはじめます。プランも標準仕様で、専有部分も小さいものが増えていきます。

 1990年代前半は、生活に便利なプラス機能や住宅設備機器の改善がされた時期です。

 たとえば、ユニットバスの追い焚き機能が付いたり、朝シャンブームから洗面台にシャンプードレッサーが付いたりしました。今や標準ともいえるウォシュレットが登場したのもこの頃です。

 また、二重床や二重天井、バリアフリー仕様も増えてきます。国際的な流れを受け、日本でも1994年バリアフリーに関する「ハートビル法」が制定され、不特定多数が出入りする病院やホテル、デパートのほか、住宅にも採用されていきました。

 1990年代後半は、1995年の阪神・淡路大震災を契機に、構造や基本性能に対する関心が高まり、制振構造、免震構造などの新技術が発達していきます。

 また、床(屋根)スラブの標準が約15cmから18~20cmと厚くなり、床仕上げは「直張り」から「二重床」になるなど遮音性能もアップしました。住宅の基本性能が進化した時代です。スラブとは、鉄筋コンクリート造りの床や屋根のことです。