しかし、こうしたビジネスモデルは変わりつつある。その典型が、08年にグーグル社内で秘密裏に始まった「グラウンド・トゥルースプロジェクト」だ。

 真の地理情報、という意味のこのプロジェクトは、グーグルが世界で撮りためたグーグルストリートビューやグーグルアースなどの画像データから地図を自動生成するもの。さらに、ユーザーが経路検索を行ったデータから地図を自動生成することも可能になった。今回、日常的に通り抜ける道として利用されてしまっているコンビニエンスストアの駐車場が“道”と認識されたのは、まさにこのためだ。

 グラウンド・トゥルースプロジェクトの成果は09年から世界のグーグルマップで順次採用されているが、複雑な地図データが求められる日本がほぼ最後となった形だ。今回、道路網の作成は自動化されたものの、地図に必要な施設名称などの地点データは「引き続きゼンリンと、今回新たにインクリメントPのものが採用されたようだ」(地図市場に詳しい青山学院大学の古橋大地教授)。とはいえ、グーグルは「ローカルガイド」など、地点施設の情報をユーザーに投稿させるサービスを持っている。地点データも自社で賄うことができるようになるのは時間の問題だ。

 グーグルが今、地図の内製化を進めているのは、地図調製企業に数十億ドルの規模に及ぶ利用料を払わずとも、自社が蓄積した情報で、地図を自動生成することが技術的に可能になったからだ。

 不具合の修正や地図情報の更新も、ユーザーからの通報を自動で反映するシステムで迅速に行われる。現に、新グーグルマップの不具合はかなりのスピードで修正されており、アップルマップ騒動に比べるとはるかに速く収束に向かっている。

 内製化された地図データは今後、位置情報と連動するサービスにおける武器として活用できる。