介護士を
「やりがい搾取」していいのか

 現状は、介護士が不足しているが、いないわけではない。彼ら(彼女らを含む、以下同様)は、均衡価格より低い賃金で働いている。しかも、彼らの多くは自分たちの賃金が均衡価格より低いこと、他にもっと待遇の良い職場があることを知りながら働いているはずだ。

 彼らに直接、話を聞いたわけではないが、きっとその多くが「他人の役に立っていると実感できて、仕事にやりがいを感じられるから」仕事を続けているのではなかろうか。仕事にやりがいを感じていないのであれば、もっと待遇の良い職場に移るはずだからだ。

 そうだとすると、それは政府が彼らを「やりがい搾取」していることになるのではなかろうか。そして、この場合の「政府」は、われわれ一般国民なのではないか。

「介護士に高い報酬を支払うために、介護保険料を値上げします」と言われたら、どれくらいの人が喜んで賛成するだろうか。賛成する人が多いのであれば、ぜひそうすべきだろう。

 もしも、介護保険料の値上げは嫌だという国民が多いのであれば、それはわれわれ一般国民が介護士を「やりがい搾取」していることと同義ではなかろうか。

外国人介護士の受け入れは
日本人介護士を不幸にする

 介護士が足りないならば、外国人の介護士を受け入れればいいという考えもあるが、筆者はそれに賛成できない。日本人介護士を「やりがい搾取」し続けることになるからである。

 外国人介護士を日本人介護士より低い賃金で雇うことは認めるべきではない。外国人介護士に対して失礼であると同時に、日本人介護士の待遇をさらに引き下げる圧力になりかねないからだ。

 さらに、日本人と同じ待遇で外国人を雇うとしても、やはりそれは認めるべきではない。外国人の労働力が供給されることによって均衡価格が引き下げられ、日本人介護士の待遇が改善される可能性が奪われてしまうからである。