年間5120億円あれば
無料で給食が食べられる

 このように、就学支援制度や給食事情が自治体によって大きく異なるために、子どもの学校にかかる費用のうち最大割合を占める「給食」に関する支援がなかなか行き届かない。

 こうした現状の中で、鳫氏が提唱するのは、「完全給食にして、給食費を一律無償化する」ことだ。よくある「お金持ちの家庭まで無償にする必要はあるのか」という意見に対しては、こう反論する。

「高校授業料無償化のときも同じ議論がありましたが、個人の所得を把握するのはとても大変でコストもかかります。また、給食はどの子どもにとっても大事なものですし、所得の多い家庭はたくさん税金を納めていると考えれば、不平等とはいえません」

 2016年に行われた政府の経済財政諮問会議では、子ども・子育て世帯の支援対策として、給食費無償化が提案され、そのためには年間5120億円が必要になるとの試算が示された。

 学校給食は1食あたり、250~300円ほどの安価でありながら、栄養バランスがとれている。地域によっては、「おいしくない」などという課題もあるとはいえ、貧困家庭には非常に助かるはずだ。

 ここ数年、貧困家庭の子どもを念頭に月に数回、無償で食事を提供する「子ども食堂」という活動も活発化し、全国各地2200ヵ所にまで広がっている。ただ、「子ども食堂」は貧困対策というよりも、地域のコミュニティー活動としての役割を担う側面の方が大きい。

 給食費をタダにして、誰もが未納の心配なく平等に学校給食が食べられるようになれば、貧困に苦しむ子どもたちが間違いなく救われる。あらためて、学校給食の意義を社会で捉え直す必要があるだろう。