決算書を加工する力【その2】~キャッシュが増減した理由を確認する

 冒頭でもお伝えしたように、貸借対照表は、会社の資産・負債・純資産の決算日時点での残高を表したものです。

 この貸借対照表は、前期と今期で単純比較することも大切です。実際に、現預金の増減状況も単純に比較することで把握できます。

 しかしながら、この比較だけでは、何が原因で手元資金が増減したのかが把握しづらいのも事実です。

 そこで、おすすめしたいのが、実際にキャッシュ(現預金)の視点から、キャッシュフロー計算書に応用して、自社の手元資金がどのように増減しているのかを把握する方法です。

 キャッシュフロー計算書では、自社のキャッシュの動きを、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの観点から把握します。

 (1)営業活動…通常の商売で発生するキャッシュの増減のこと。売掛金の回収や、仕入代金の支払い、人件費をはじめとする通常経費の支払いなどもこれに該当します。

 (2)投資活動…設備投資をはじめ、投資に関する支出、固定資産の売却などが該当します。

 (3)財務活動…借入金の調達や返済、資本金の増資などが該当します。

 このように、3つの観点で構成されるキャッシュフロー計算書を通じて、何が原因で手元資金が増減したのか、その理由が確認できます。

 仮に手元資金が増大していたとしても、その大半が借入金の調達に依存している場合もあれば、逆に手元資金が減少している理由が、売掛金の回収の遅れが原因の場合もあります。

 このように、決算書は単純に鵜呑みにするのではなく、まずは(1)決算書の中身を見抜く読解力、そして(2)決算書を応用して自社の予算管理やキャッシュフローの改善に役立てる加工力の2つの力が必要になります。

 ビジネスパーソンの皆さんも、単純に決算書を見るだけでなく、決算書の読解力と加工力を身につけることをおすすめいたします。

(つづく)

※本連載は、(火)と(木)に掲載いたします。
 


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