決算書を加工する力【その1】~損益計算書は原材料に過ぎない
決算書を読む力が高まるのに伴い、その決算書を活用することも重要です。
ここでは、損益計算書と貸借対照表の活用法について、お伝えします。
損益計算書は、そのままのデータで見るだけでなく、予算を立てたり、その詳細を細分化したり、経費の区分をルール化することで、いろんな見方のできるデータとなります。
今回は、予算設定で重要になる変動損益計算書と呼ばれるものについて、お伝えします。
変動損益計算書は、予算設定や進捗管理を行う際に活用される計算書です。
通常、損益計算書では、発生する経費を、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用といったように、会計ルールに基づいて計上される箇所が決まっています。
しかしながら、前回の連載で記載した「逆算する力」でも触れたように、予算を立てるにあたっては、売上から考えるのではなく、必要な税引後の当期純利益から逆算して考え、最終的に必要な売上高を求めます。
この際、売上の増減に応じて増減する経費(これを変動費と言います)と、売上の増減に関係なく一定額が発生する経費(これを固定費と言います)に区分して経費を管理した方が、より簡単に予算を立てやすくなります。
そして、この変動費と固定費で経費を区分した計算書が、変動損益計算書と言われるものです。
<変動損益計算書>
売上高…(5)限界利益額÷(1-変動費率)で必要売上高を算出
-変動費…(4)売上に伴う変動費の率を確認
限界利益…(3)経常利益+固定費で算出
-固定費…(2)固定費予算を確認
経常利益…(1)税引前当期純利益から逆算して必要な経常利益を算出
このように、(1)から(5)の順序(下から上への順序)を通じて、会社にとって必要な売上高予算を設定します。
また、算出された売上高をはじめとする予算を、各部門別や商品別の単位で区分して、予算の内容を細分化し、進捗管理を行います。