たとえば、OJTトレーナー研修(新人の指導員向け研修)などで、事前情報では「対象者は新人よりも5~6年次上の20代後半の方」と聞いていたのに、いざフタを開けてみたら、「新人と20歳も年齢が離れた人がいる」ということがあったりします。あるいは、「初めて指導員になる人ばかり」と聞いていたのに、実際には「過去に何度もトレーナーを経験している有識者が混在している」ということもあります。

 このように、事前に用意したカリキュラム内容やレベル感とその場にいる参加者のニーズがズレる、というのはよくあることです。そのギャップを埋めないまま研修を進行すると、参加者にとっては「ニーズに合ってない」「期待と違う」研修となってしまいます。

研修のオープニングで
参加者のニーズを聞き出す

 この問題に対処するために有効なのが、研修のオープニングで「参加者のニーズを聞き出す」アプローチです。具体的には研修内容に合わせて「○○○についての悩み・課題」とテーマを設定し、グループで話し合い、共通項の高い意見を全体で発表してもらうのです。これは言い換えると「今回の研修で持ち帰りたいこと」の共有とも言えます。

 本連載では、社内講師向けの研修で吐き出された【講師としての悩み・課題】を順番に取り上げていますが、これはまさにそのアプローチから導き出された共通性の高い問題なのです。リアルに目の前に対峙している「参加者から出された問題を解決する」アプローチを取ることで、参加者にとっては間違いなく期待・ニーズに沿った内容になります。

 参加者から開示された悩み・課題は、内容や時間の制約もあって、その場で全てに応え切れないかもしれませんが、汎用性の高い内容については「現場の二-ズ」として次回以降の研修企画に反映していくことで、より参加者の期待・ニーズに沿った研修へと近づけていくことができます。

【講師としての悩み・課題】の解決策を考える第3回目は、「参加者の期待・ニーズと合っているか不安」という問題に対して、「事前に対象者の分析をする」「目の前の参加者のニーズを拾い上げる」という2つのアプローチから、対処策を紹介してきました。

 次回は、悩み・課題として4番目に多かった「うまく参加者から意見を引き出せない」ということについて取り上げて行きたいと思います。

(株式会社ラーニング・クリエイト代表取締役 鈴木英智佳)