30年の間の在留外国人の国籍別の数の変遷をみるだけでもそうだ。

 まず現在(2018年6月末)の人口上位5ヵ国を並べよう。

1位:中国(74万1656人、28.1%)
2位:韓国(45万2701人、17.2%)
3位:ベトナム(29万1494人、11.1%)
4位:フィリピン(26万6803人、10.1%)
5位:ブラジル(19万6781人、7.5%)

 つまり中国だけで3割、上位3ヵ国で半分以上、上位5ヵ国で全体の7割だ。その後、ネパール、台湾、米国、インドネシア、タイと続く。

 振り返ると、1980年代はほとんどが韓国・朝鮮出身者だったが、1990年代になると中国、フィリピン、ブラジル出身者が増大する。減って行った(そこまで入ってきていない)韓国・朝鮮の数を抜いて中国がトップになるのは2007年だ。日系人が多いブラジルは2008年のリーマンショックを機に、解雇ゆえの帰国が増え、減っていく。ベトナムが増えたのは2012年から、留学生や技能実習生が多くなったからだという。

 もうひとつ、「移民」とひと言でいっても、日本にいる理由や資格で、立場や安定性がまったく異なる点も大事なところだ。なにしろ在留資格のカテゴリーはなんと26もあるそうだ。それを大まかに5つに分類し、本書では論じていくのだが、多い順に、1位は「身分・地位」(永住者や日本人の配偶者など。定住化傾向が強く、安定している)、2位は「専門・技術」(就労目的の在留資格を持つ)、3位は「留学」(学校に属していれば週に28時間まで就労可能)、4位は昨今失踪がニュースにもなる「技能実習」(最長5年までで帰国が前提。家族を呼べないなど制約が多い)、5位は「家族滞在」(在留資格者の配偶者や子ども)となっている[( )内は適宜まとめてみた]。

在留外国人263万人のうち
6割は労働者、その国別の内訳

 外国人労働者は146万人、つまりは在留外国人263万人のうち6割は労働者だ。その国別の内訳はというと、また違う様相が見えてくる。

 先ほどのトップ5から韓国は姿を消し6位へ。1位から順に、数は中国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールとなる。つまり、出身国によって労働者率が異なり、入ってきた時期によって日本で求められる役割が違うということだ。ほかにも、技能実習生は製造業に多く、留学生はサービス業が多い、といった傾向や、東京に非常に集中していることなど、在留外国人の分布図がはっきりして、視界がクリアになっていく。

 その後、第3章「いわゆる単純労働者」たち、第4章技能実習生はなぜ「失踪」するのか、第5章非正規滞在者と「外国人の権利」、第6章 「特定技能」と新たな矛盾と続く。

 そうして「移民」のレイヤーごとに読み解きは進むのだが、結果、見えてくるのは、日本は「単身で、健康で、いつか帰る外国人労働者」を求めているのではないか、ということだ。