「年だから食べられない」のは問題
60代だからこそ肉も、魚も、揚げ物も

 現在、Hさんの食生活はというと「気持ちいいくらい、奥さんの言いなり」で、朝はトースト、コーヒー、ハムエッグ、サラダ、ヨーグルト、フルーツが定番。お酒の量が減ってから甘党になり、ついついトーストにジャムを塗りすぎて、奥さんに「つけすぎ!」と注意されるといいます。

「この年になると、言ってくれる人がいることが本当にありがたいと思う」

 と言いながらも、ストレスをためないように、平日のランチは食卓には並ばない揚げ物を食べることも多いそう。それでも40代の頃と比べると5kgくらい落ちて、今がベスト体重だといいます。健康診断でも、ほとんどA判定。項目によっては奥さんよりも数値が良いものがあり、「私の方が食事に気を使っているのに!」と悔しがられることも。
 
 でも、実は、この「時には揚げ物を食べる」くらいの食生活が、Hさんの体を支えています。仕事の有無や生活環境によって個人差はあるものの、60代後半にもなれば一般的には活動量は少なくなります。そこで、「太らないように」と肉よりも魚や大豆製品ばかりを選んでいると、栄養が偏ってしまい栄養不足になりがちです。ましてや、以前のように量が食べられなくなってくると、ますます栄養が足りなくなってしまいます。

 60代だからこそ、色々なものを食べていろいろな栄養を取ることが大事です。30代や40代の頃より食事量が減ったとしても、その食事を構成する食材数は、減らさないようにしましょう。

 特に、魚、肉、大豆製品、乳製品などのタンパク質は積極的に取りましょう。年を重ねると、サーロインよりもロース、ロースよりもフィレ…と、どんどん脂が少ないものを好むようになります。しかし肉の部位に限らず、「いつもさっぱりしたものしか食べられない」のは問題です。胃もたれなど、消化に負担を感じるようになったら、「食べない」という選択肢だけでなく、「よくかんで消化を助ける」という選択肢もあります。

「年だから食べられない」というのではなく、いつまでもおいしい物をおいしく食べられるコンディションを目指すことも大切です。年を重ねても元気な方はみなさん、「食べることが好き!おいしいものが好き!」という方が多いようにも感じます。