“お上”が怒りの鉄槌を下した。原子力規制委員会は4月24日、各原子力発電所に設置を義務付けているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、原則として原発の運転を認めない方針を決めた。
今のところ、対象になるのは関西電力、九州電力、四国電力の原発10基。そのうち、関電の大飯原発(福井県)4号機、高浜原発(同県)3、4号機、九電の川内原発(鹿児島県)1、2号機、四電の伊方原発(愛媛県)3号機の計6基が運転中で、運転停止を余儀なくされる可能性が高い。
なぜ原子力規制委はテロ対策未完の原発を停止する方針を決めたのか。
きっかけは、4月17日に原子力規制委と各電力会社の原子力部門の責任者の間で行われた意見交換会だった。“ご説明”に上がった電力会社側は、あれこれと理由を付けてテロ対策施設の設置が1~3年ほど遅れるという見通しを明らかにした。
テロ対策施設は、11年の東日本大震災で起きた東京電力福島第一原発事故への反省から13年7月に施行された新規制基準(安全対策の新基準)の中で、一律に18年7月までに完成させるよう定められた。その後、原子力規制委の安全審査の長期化などもあり、同委は15年11月に経過措置として原発ごとに原発本体の工事計画認可を得た日から5年以内の猶予期間を与えた。