中間報告1-1:禁断症状との苦闘

 さて、4月14日に82.3キロであった私の体重

 17キロ減量という大目標を掲げた。毎日の食事から糖質をかなり厳密に排除しなければ、短期での達成はまず無理だろう。そう、覚悟を決めた。

 おやつのポテチやアイスクリームなどもってのほか。主食については白米やパン、シリアルはもちろん、好物のパスタをやめた。

 前回、「糖質中毒」「糖質ジャンキー」という単語が登場したが、禁断症状とおぼしき状態もしばらく続いた。

 『医者が教える食事術 最強の教科書』に掲載されている「糖質中毒チェックリスト」。私が回答したところ、すべて「はい」だった、因縁のあの表。

 そのなかでも5番の「おなかがすいていないのに、夜食べたくなることがある」や、6番の「どうしても夜食を食べたくなる」などは、まさしく食の禁断症状ではないか。

 同書でも研究成果について言及されている、アメリカ・国立薬物乱用研究所の所長、ノラ・ボルコフ博士。彼女の特別インタビューを科学雑誌『ニュートン』の別冊、『肥満のサイエンス』(ニュートンプレス刊・2014年)で読んだ。

 種の存続に重要な役割を果たす、喜びの脳神経回路「報酬系」を、麻薬や覚醒剤などの薬物は乗っ取ってしまう。

 コカイン、アルコール、マリファナ、メタンフェタミンなどの乱用は、衝動的行動の抑制に関与する「前頭前皮質」や、生存に必要なものを判断する「眼窩前頭皮質」の機能障害を引き起こすのだ。

 博士らのグループの研究で、タンパク質「ドーパミンD2受容体」が特定された。実は、先ほどの脳の機能障害はドーパミンD2受容体の減少により生じたのであった。

 そして、ここからが重要になる。

 BMIの値が35以上の、食べ過ぎをやめられない病的な肥満の人は、薬物依存患者と同様にドーパミンD2受容体が大きく減少し、しかも前頭前皮質がある前頭葉の活性も低下していた。

 糖質が切れたらソワソワしだして夜のコンビニに駆け出してしまう日常を過ごしていた私。

 その状態から、糖質がほぼ入ってこないようにするというのだから、2週間過ぎるまではなかなかに大変だった。

 深夜に禁断症状が起こると近所の焼き鳥店に駆け込み、低糖質のメニューを選び、禁断症状をごまかしていた。

 ふだん、愚痴や社会への不満をこぼすのに使っているSNSでは、本格的な糖質制限を始めて10日ほどで案の定、以下のような残念な叫びを書き込んでいた。

「うまい単品麻婆豆腐が食べたい。ごはん不可。情報求む」(0:44)

「とにかく、今俺はごはん抜きで麻婆豆腐が食いたいんだ!」(0:52)

 この深夜の咆哮の末の彷徨。その数時間前には『医者が教える食事術 最強の教科書』著者の牧田善二先生に経過報告にうかがって、ちょうど禁断症状がおさまりつつあるという話をしていたばかりなのに!

「妙なだるさや焦燥感はあったんですが、だんだん落ち着いてきました」などと発言していた、その舌の根も乾かぬうちにこれである!

 それにしても、そのときの牧田先生のお話には含蓄があった。

「禁煙した人にはわかることなんですが、だんだん量を減らしていくっていうのは成功しませんね。まったく、スパっとやめてしまうのがいいようです。糖質を断った人も、最後には『もう、慣れました』とおっしゃいます」