菅官房長官は、新年にラジオ番組で、消費税増税の最終判断について「予算が成立したころ」と見通しを語った。1月に予算案を可決すれば、残る8ヵ月で方針転換ができる、と踏んでいたのだろう。

 ところが統計不正で国会が紛糾し、予算は成立したものの日米、日ロ、日中の外交問題も重なり、「先送り論議」に本格的に火がつかない。

 財務省は予算編成という権限を背景に国会の審議や日程を管理しながら、政権運営に介入することを伝統的手法としてきた。自らの日程に合わせ、粛々と事務作業を重ねて、後戻りできない仕組みを作ってきた。

 財務官僚は「勝負はついている」と言いたげだ。

「ちゃぶ台返し」はあるのか
政治の質が問われる

 首相が「3度目の先送り」をしようとするなら、夏にダブル選挙を行い、9月に臨時国会を開き、10月1日までに衆参両院で法改正を決めなければならない。

 消費税増税は商店や中小企業にとって、レジや会計システムのソフトや端末の入れ替えに手間とカネがかかる。それの準備を土壇場で「ちゃぶ台返し」することを政権はするのか。

 納税者そっちのけの「攻防」が水面下で繰り広げられる中で、注目すべきは、消費増税を実施するか、先送りするか、という政策の方向だけではない。

「どのように決まったか」という政治の質が、改めて問われることになるだろう。

(デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員 山田厚史)