外部の人も大切にする
私たちがレーザーを販売するとき、日本レーザーと購入者の間に、ローカルディーラーと呼ばれる中間業者が入ることもあります。
購入代金は、「購入者→ローカルディーラー→日本レーザー(ローカルディーラーはマージンを引いた額を日本レーザーに支払う)」の順に支払われるため、仮にローカルディーラーが破綻すると、当社は代金を回収できなくなります。
今から10年ほど前に、ローカルディーラーのA社が倒産し、日本レーザーは、500万円の損失を被りました。
A社の社長(B氏)は自己破産を余儀なくされましたが、B氏から次のような申し出がありました。
「500万円分、仕事をさせていただけませんか?」
B氏を見限ってしまうと、一銭も入ってきません。
そこでB氏と
「新規契約を決めてきたら、一契約につき50万円のインセンティブをB氏に支払う。そして、その50万円を日本レーザーへの返済に充てる」
という取り決めをしました。
実質的には「行ってこい」なのでタダ働きになるわけですが、B氏は「それでお願いしたい」と言う。
するとB氏はもともと実力があったので、2年足らずで10件の新規契約を決めてきたのです。
B氏からは資金を回収できましたが、私は「ローカルディーラーから資金を回収できなかった責任は、日本レーザーにもある」と考えています。
「信用調査を怠った」「見極めが甘かった」など、自社に「スキ」があったからです。
日本レーザーは「人を大切にする」ことで業績を伸ばしてきた会社です。
その「人」とは、社員のみならず、「外部の人」も含まれます。
もしあのとき、B氏との関係を断ち切っていたら、B氏は生きがい、やりがいを失い、立ち直ることはできなかったと思います。
日本レーザーに関わる「すべての人」を大切にする。
これが私の経営哲学です。
ps.「25の修羅場」の詳細は、第1回連載「倒産寸前から売上3倍、自己資本比率10倍、純資産28倍!「25の修羅場」が「25年連続黒字」をつくった理由」をご覧ください。きっと、私が血反吐を吐きながら、泥水を飲みながらのここまでのプロセスの一端を垣間見れるかと思います。