アジア諸国への輸出減少の影響少ない非製造業が景気下支え

 今回のGDPの伸びについては、輸出以上に輸入が大きく減少したことで純輸出が増加したことと、公共投資や駆け込み需要が始まったとみられる住宅投資の増加が主因である。個人消費、設備投資など内需がマイナス、輸入減少も内需が振るわないことが原因であることから、力強さにかけ、内容が悪いとされるが、景気後退を示唆する結果ではない。

 1~3月期のGDPについては、当初マイナスを予測する声も多かった。予測がはずれた原因の一つは、設備投資のマイナス幅が予測より小さかったことだ。非製造業の投資が下支えしたとみられる。

 3月調査の日銀短観をみれば、それがよくわかる。中国やアジア諸国への輸出減少などが影響し、製造業の18年度の設備投資額は、前回(12月調査)比で3.8ポイント下方修正され、11.1%増だったのに対し、非製造業は同2.4ポイント上方修正され、10.0%だった。

 では、どちらの景気判断が正しいのか。この二つの指標の齟齬の原因の一つは、製造業、非製造業の比率の差である。

 一致指数は、鉱工業生産指数など9つの指標から成り立っている。このうち4つの指標が製造業関連だ。単純に言えば、全体に占める比率は44.4%だ。それに対して、「GDPに占める製造業の比率は約20%」(森田京平・クレディアグリコル証券チーフエコノミスト)だ。

 3月調査の日銀短観の業況判断指数の足元、先行きともに非製造業が製造業を上回っている。それゆえ、非製造業の比率が高いGDPの方が良好な結果となるのである。景気動向指数の製造業比率よりGDPの方が実態に即しており、どちらを優先すべきかといえばGDPだろう。