では、プレゼンにおける「良い声」とは何か。それは「美声」ではありません。シンプルにまとめると、下記の3つの条件を満たすものです。

(1)聴き手全員が明瞭に聴きとれる

(2)内容をより効果的に伝えるための演出効果を出せる

(3)長く話しても喉に負担がかからない

 1つずつ見ていきましょう。

(1)聴き手全員が明瞭に聴きとれる

 1対1の対話であれば、たとえば相手が聞き取れなかった場合には察することができます。言い直せばよいのです。ところが1対多のプレゼンの場合、必ずしも全員に目を配り、誰かに声が届かなかったからと言って、逐一言い直すことは困難です。

 情報の伝達ロスをできるだけ減らし、プレゼンからの離脱者(興味や聴く気を失う者)を最低限に抑える。そのためには、やはり会場の隅まで届く声が重要です。マイクのある会場では無理せず使うのが、最も適切な解決方法ですが……。

(2)内容をより効果的に伝えるための演出効果を出せる

 声の変化には種類があります。大小、高低、声色、スピードなど。こういった要素を使い分けられるようになれば、プレゼンのメリハリがぐっとわかりやすくなります。たとえば主題や結論を話すときには、大きめの声でゆっくりと噛みしめるように。各論や具体例を話すときには、軽めの声でテンポよく。この2つを使い分けるだけでも効果的です。

(3)長く話しても喉に負担がかからない

 ビジネスパーソンの場合でも、たとえば商談会や各種展示会、採用の合同説明会など、長時間話し続ける機会が増えてきました。特にブースが隣接している中での説明は、声も届きにくく、かなり喉を酷使します。大きな声を地声として持っていること、「がなる」ことをしなくても楽に相手に伝わる声を持っていることは大きな力になりますし、訴求力にもかかわってきます。

「良い声」の条件である
「大きな通る声」をどうすれば出せるか

 こうして考えてみると、「大きな通る声」がまずは「良い声」の主要な条件といえますね。

 では、どうすればそうした声が出せるようになるでしょうか。

 多くの歌手や俳優が意識しているのは「腹式呼吸」での発声です。「出たよ『腹式呼吸』!よく耳にするけど、なんだかよくわかんないんだよなあ」そう感じる方も少なからずいるのではないでしょうか。また、言葉だけは聴いたことがあるという方も。今回は改めて、その原理や実践方法を確認してみましょう。