夜間多尿は、夜眠っているときに尿が増えて膀胱(ぼうこう)がいっぱいいっぱいになってしまうことを指す。原因は水分の再吸収をうながして、おしっこの量を減らす「抗利尿ホルモン」の分泌低下によるもの。

 本来、抗利尿ホルモンには睡眠のじゃまをしないように夜間尿量を減らす働きがあるのだが、夜尿症の子ども達は何らかの原因で抗利尿ホルモンの分泌が低下し、睡眠中でも昼間なみに尿量が増えると推測されている。

 おしっこがたまると、通常は膀胱がふくらんで量をためこむメカニズムが働くが、夜尿症の子どもは膀胱が一杯になった刺激で排尿筋が強く収縮する一方、蛇口を閉めておく骨盤底筋の反応は鈍く、尿を漏らしてしまう。

 さらに、睡眠の質が悪いと膀胱の刺激があってもしっかり目を覚ますことができない。夢うつつのうちに排尿刺激を感じているかもしれないが、脳の覚醒反応が起きにくく、そのまま排尿してしまうのだ。夜尿症ではこれらの原因が重なり合っていると考えられている。

 このほか遺伝的因子も指摘されている。夜尿症の子どものどちらかの親におねしょ(夜尿)に悩んだ経験がある場合は子どもが夜尿症になりやすく、両親ともに経験者の場合、子どもの夜尿症発症リスクは、両親ともに非経験者のおよそ11倍だ。

 夜尿症の後ろに大きな病気が隠れていることもある。

 例えば腎尿路疾患や糖尿病、膀胱の病気、てんかんなどだ。これらの病気との鑑別のためにも就学後に“おねしょ”が続くようであれば、一度は小児科に相談して欲しい。

行動療法と薬物療法で改善
小児科で相談してみよう

 夜尿症の治療は、生活指導や行動療法のほか、後述するアラーム療法と薬物治療がある。生活指導では排尿日誌を書いたり、水分摂取の管理が行われる。飲み物をやみくもに制限するのではなく、午前中~夕方までに1日の水分摂取量の8割を取り、17時以降は2割程度と分割するといいだろう。日が昇っているうちにきちんと水分を取っておくと、夜の「水を飲みたい」欲求が抑えられる。できれば寝る3時間前に夕食を済ませ、その後の飲水は最小限のコップ1杯程度にしておこう。