抗利尿ホルモンを代替
健康保険で治療ができる

 薬物療法の第一選択薬である抗利尿ホルモン剤のデスモプレシンは、夜間多尿型や複数の原因が重なっているタイプによく使われる。保険診療で利用できる薬剤で、点鼻スプレーと口の中で溶かして飲むタイプがある。

 点鼻スプレータイプは薬の有効成分の吸収が良い半面、副作用が強く出るため敬遠されていた。しかし2013年、安全性の改善を目指して開発された水なしで飲める経口薬「デスモプレシン酢酸塩水和物(製品名ミニリンメルトOD錠)」が登場。副作用のリスクが軽減されたことで、一般の小児科医で処方されるケースが増えてきている。デスモプレシン製剤の有効率は7割前後で、前述の診療ガイドラインではアラーム療法と並んで第一選択治療とされた。

 このほか、成人の頻尿・尿漏れ治療薬の抗コリン薬も昼間にもおもらしをしてしまうタイプの夜尿症治療で使われることがあるが、基本的には保険適応外だ。診療ガイドラインでは第三、第四の手段として位置づけられている。漢方薬や抗うつ薬も使われるが、一般の小児科医では管理が難しいため、こちらも次善の策だろう。

「今こそ、行動を」
夜尿症デーをきっかけに

 夜尿症に悩む子どもの親御さんに伺うと、案外「保険診療」で治療ができることを知らない方が多い。また「おねしょくらいで、大げさでは……」と医者に相談することをためらう方もいる。

 生活習慣の影響が全くないわけではないが、それだけで病気を改善するのは難しい。子どもの健康的な成長を守り、学校・社会生活を楽しむために一時、薬や医療の力を借りることは悪い選択ではない。

 もし、お子さんと2人で夜尿症に悩んでいるなら小児科医に相談してみよう。世界夜尿症デーのスローガンは初回から変わらず「今こそ、行動を──Time to Action」である。