お財布のなかのお金は日常的に使うように、血中を流れる中性脂肪は、体のエネルギー源としてつねに利用されています。ところが、食べすぎて、血中の中性脂肪が増えすぎると、体内で利用しきれません。余った分は、どこかに貯めておかなくてはいけなくなります。そこでまず「普通預金」の内臓脂肪となり、それも余ると「定期預金」の皮下脂肪になります。

 この他に、じつはもう1つ、第三の脂肪があります。

 この第三の脂肪を、「異所性脂肪」といいます。もっとも代表的なものが、肝臓につく脂肪です。

 中性脂肪が「お財布のなかのお金」、内臓脂肪が「普通貯金」、皮下脂肪が「定期預金」ならば、肝臓につく脂肪は、さしずめ「タンス貯金」といったところでしょうか。

肝臓に一時貯蔵された脂肪が
使わず蓄積され続けたのが「脂肪肝」

 私たちは食べ物からエネルギーを得ています。食べ物は胃や腸で処理され、一部はブドウ糖に、一部は中性脂肪になり、血液に乗って全身へと運ばれ、必要に応じてエネルギーとして活用されます。

 ところが、これらのエネルギー源が必要以上にあると、どちらも肝臓によって脂肪に変えられ、貯蔵されます。肝臓は体内の有害物質をデトックスしてくれる臓器ですが、エネルギーの「一時貯蔵庫」でもあるのです。

 たとえば、朝食に食べたトースト1枚は、夕方くらいまでにはエネルギーとして使われますが、夜中に食べたラーメンは、夜間は活動しないためにほとんど使われず、脂肪として肝臓に貯蔵される。そんなイメージでとらえておくといいでしょう。

 あくまでも一時貯蔵庫ですから、体がエネルギー不足になれば、やはり肝臓の働きで脂肪はエネルギーになります。お財布のなかのお金が足りなくなったときに、タンス貯金からちょっと借りるのと同じです。

 肝臓に蓄積しただけ使われ、また蓄積しただけ使われ……ということであれば、何も問題ありません。

 でも、肝臓に一時貯蔵された脂肪が使われないまま、次々と脂肪が肝臓に蓄積され続けたら問題です。これが脂肪肝の始まりなのです。