一連の不祥事に頭を下げる大和ハウス工業の芳井敬一社長ら相次ぐ不祥事を謝罪する大和ハウス工業の芳井敬一社長(右)ら。体育会系のノリで人口減少を乗り切ろうという無茶な経営戦略は、そろそろ改めるべきだ Photo:JIJI

会社を揺るがすほどの不祥事に発展したレオパレス問題に次いで大和ハウス工業も、と不祥事が続発している。強引な営業が問題になっている大東建託もそうだが、人口減少という抗えない時代の変化に対して、「根性」と「頑張り」で立ち向かおうとする、時代錯誤の経営哲学が背景にあるのではないだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

大和ハウスや大東建託も
住宅業界の不祥事が続々発覚

 “外壁なしの違法プラモデル建築”が発覚したレオパレスの二の舞になってしまうのだろうか。

 4月に防火基準を満たしていない不適切な物件2000棟超があると公表していた大和ハウス工業が、再調査をしたところ、国から認定されていない基礎を使った不適切住宅が、新たに約1900棟も見つかったのだ。

 実は今、同社は不祥事のフィーバー状態となっている。

 今年1月には元営業所長が、取引先の太陽光発電関連会社から約4000万円のリベートを受け取っていたことが発覚。3月には中国・大連市の関連会社から、約234億円の会社資金が不正に引き出されたと発表。つい先日にも、施工したマンションの貯水槽で協力会社作業員が泳ぐというバカ動画を世界に発信したことで謝罪したばかりなのだ。

 ただ、この傾向は大和ハウスだけではない。「被害者の会」まで立ち上がったレオパレスはご存じの通りで、同じく賃貸アパート大手で、“いい部屋ネット”で知られる大東建託もオーナートラブルや職場のブラックぶりが一部で指摘されており、不動産業界では「大東建託の内幕 “アパート経営商法”の闇を追う」(同時代社)なんて本も注目を集めている。

 では、なぜ賃貸住宅建設に関わる大手プレイヤーから、次々と「問題」が噴出しているのだろうか。

 ひとつには、住宅着工件数の減少が影響していることは間違いない。

 日本は今、急速に人口が減っている。総務省統計局「総人口の推移」によれば、2017年から18年の1年間で日本の人口は約40万人減っている。これは、岐阜市レベルの都市が毎年、「消滅」しているとイメージしていただければわかりやすい。