「日本語検定の合格書類のコピーも用意させたのに友人の書類をコピーして、自分の名前に書きかえてたらしい」

 「過去に、実際に嘘が発覚したことがある。それでも開き直られた。『書類に偽造があった場合は、その時点で採用を取り消す』と契約書に書いてあるのに、逆切れされ通用しなかったこともある」

 「問題が起きてから保証人に電話したら、『保証人になったつもりはない。勝手に名前つかわれただけ』の一点張りでどうしようもなかった」

 中国人を採用しようとした際に、このようなトラブルをよく聞く。人材ビジネス会社は「中国人を採用するときには、書類に偽りがあることが多い。最初から書類の内容をあてにしないように」と注意を促す。実際、中国では「就職のための偽造証明書つくります」とうたった看板をあちこちで見かけ、繁盛している。

 なぜ、こんな問題が起きるのだろう。

 私も企業や大学で中国人の採用のため、面接官を担当したことがある。あるとき、マネジャーポジションを一人応募したところ、30歳の中国人男性が募集してきた。

 「日本ではどのような仕事をしていたのですか?」

 聞いたこともない日本企業に3年間勤務していたと履歴書には書いてある。インターネットで検索しても出てこないことについて質問すると「すでに倒産したみたいだ」と返事が返ってきた。そして、動揺することもなく、堂々と「日本企業での習慣は十分に身につけており、営業成績も一番、管理者としても能力が発揮できた」と自己PRした。

 「日本では誰と住んでいたのですか?」

 「私の中国の実家は日本との貿易の仕事をしており金持ちである。日本では叔父さんと住んでいました。」

 履歴書に多少の間違いがあっても反省も動揺もすることもなく、質問ごとに実家や自分が有能であることを自慢するのだった。