仕事のプロとしての人となりが分かる、色っぽい資料を

 私はよく、「仕事のプロ」は、「ピン芸人」みたいなもの、という言い方をしています。ピン芸人は、一発芸が得意な人もいれば、一人コントが得意な人もいます。

 各人が自分の芸風を見極め、それに特化して披露するからテレビ番組などでキャスティングされるのです。

 当然、芸風が分かりにくい人より、分かりやすい人の方が、キャスティングされる可能性が高くなります。そして、ミスキャスティングされる可能性が低くなります。

 だからピン芸人は、自分の芸風を分かりやすく伝えて、第一想起されるよう努力をする必要があるのです。

 ところで、みなさんは冷蔵庫を買うとき、何を決め手に買いますか?

 外部寸法や内部容量、年間消費電力、据付必要寸法、重量などを見て「この冷蔵庫が欲しかった!」という人はほとんどいないですよね?

 そうではなくて、「10万円」などと予算を決めたあとは、各メーカーの10万円前後の冷蔵庫を見比べながら、ウリになるキャッチコピーを見る、実際に購入した人の口コミを見る、専門家のおすすめを調べる、冷蔵庫を使っているカッコいい部屋をイメージできるような写真をチェックするなどして、「この冷蔵庫、欲しいな」と考えるのではないでしょうか。

 「仕事のプロ」の履歴書もこれと同じです。

 市販の履歴書のような型通りのものではなく、もうちょっと人となりが分かるような「色っぽい」資料がほしいところです。

 自分が「仕事のプロ」として何をしてきたのか、ピン芸人さながら、その人の個性が一発で伝わるような資料をあらかじめ用意しておきましょう。

 ちなみに、私は「起業50」と題したこれまでの自分歩みを端的にまとめた資料(パワーポイントで20ページ弱)を自作し、自己紹介代わりに使っています。

 50=17+19+14

 これが私の自己紹介の数字で、年齢=企業内起業+独立起業+週末起業、です。

 【十歩目】 「仕事のプロ」の「仕事ぶり」を、努めて可視化する。

守屋 実(もりや・みのる)
1969年生まれ。明治学院大学卒。1992年にミスミ(現ミスミグループ本社)に入社後、新市場開発室で新規事業の開発に従事。メディカル、フード、オフィスの3分野への参入を提案後、自らは、メディカル事業の立上げに従事。2002年に新規事業の専門会社、エムアウトをミスミ創業オーナーの田口弘氏とともに創業、複数の事業の立上げおよび売却を実施。2010年に守屋実事務所を設立。設立前および設立間もないベンチャーを主な対象に、新規事業創出の専門家として活動。自ら投資を実行、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本とする。2018年4月に介護業界に特化したマッチングプラットホームのブティックスを、5月に印刷・物流・広告のシェアリングプラットホームのラクスルを2社連続で上場に導く。