独立派が「革命」を目指せば
抗議運動は失敗する

 香港政府・中国共産党と対立する若者たちには、「民主派」と「独立派」の2つのグループが存在する(2019.06.18配信記事P.4)。民主派は、「一国二制度」で香港の民主主義を守ることを志向する。アグネスさんやジョシュアさんが組織する政党「香港衆志(Demosisto)」は、このグループに位置付けられる(香港衆志ホームページ)。

 一方、「本土主義」と呼ばれる「香港ナショナリズム」を思想的基盤とするのが独立派だ。G20が開催された大阪で、モンゴルやウィグルなどの民族運動家とともにデモを行った陳浩天(アンディ・チャン)氏が代表を務めていた「香港民族党」は独立派である。

 2つのグループは、「逃亡犯条例」改正案の撤回では、連携して行動することができている。しかし、その先の目標はまったく異なっている。民主派は、香港行政長官選挙で民主派を勝利させることや、香港立法会で民主派が多数派を形成することで、民主主義を実現することを目標としてきた。これに対して独立派は、一国二制度下での民主主義ではなく、香港の中国からの完全な独立を志向する。言い換えれば、「革命」を目指すということである。

 現在の抗議行動において、独立派の影響力が強いならば、「逃亡犯条例」改正案の撤回、行政長官の辞任が実現した後も、「革命」を目指して「暴力的」な抗議行動を継続することになる。得意のIT技術を駆使して、デモを組織し続けることに加えて、国際世論も喚起する。そして、中国に対するサイバー攻撃も行うだろう。

 彼らは、従来の世界各地での「革命」のような、武器を持っていない。しかし、IT技術という最先端の「武器」を駆使して、「革命戦争」を戦い抜こうとするかもしれない。

 だが、「革命」を成功させるのは、難しいのではないだろうか。デモやサイバー攻撃が続けば、香港政府や中国共産党は、若者たちを「暴徒」と決めつけて、国際社会に強く訴えるだろう。

 また、デモが長期化すれば、香港の金融経済がまひすることになる。しかし、グローバル経済による格差拡大に批判的で、「高級マンションを購入しない」「大学内にスーパーはいらない」「スターバックスはいらない」「多国籍企業に入らず、社会的企業や非政府組織(NGO)を立ち上げる」と行動してきた独立派は、香港の金融経済がどうなろうと気にしない。むしろ、香港がアイデンティティーを取り戻す好機と考えるかもしれない。

 しかし、多くの多国籍企業が拠点を置いている香港がまひすることは、香港の中のビジネス界のみならず、国際社会が絶対に容認しないだろう。「逃亡犯条例」改正案をめぐる攻防では若者たちを支持した米国やEU、カナダなども、デモが長引けば、香港政府や中国政府の「若者たちは暴徒だ」という主張を支持する可能性がある。