ウルトラ・プロセスフード、つまり「超加工食」を1日4サービング(1日1~2食程度)以上食べると、全死因の死亡率が62%上昇するようだ。
超加工食とは五つ以上の防腐剤や着色料、乳化剤などを含む加工食品のこと。
大量生産のスナック類やドーナツなど菓子類のほか、調理済みの肉や魚、ハムやソーセージ、インスタント食品などを指す。どれもこれも現代人の食生活から切り離せないものばかりだが、これが健康リスクになるらしい。
スペイン・ナバラ大学の研究グループは、超加工食と死亡との関連を評価するために、スペインの大卒者が参加している「SUNデータベース」から1万9899人の成人男女のデータを収集。
1999~2014年の間、2年ごとに食品と飲み物の摂取状況と死亡要因との関係を、食品の加工度と併せて解析した。
登録者のうち、女性は1万2113人、男性は7786人で、登録時の平均年齢は37.6歳、追跡期間の中央値は10.4年だった。
超加工食の1日摂取量を、低摂取から高摂取までの4群に分けて解析した結果、高摂取群(1日4サービング以上)は、平均BMI(体格指数)が最も高く、低摂取群(1日2サービング未満)と比べ、間食や1日3時間以上のテレビ視聴、パソコン使用、昼寝の時間が長いなど、「座りっぱなし」の傾向が認められた。また、心血管疾患や高血圧、糖尿病の家族歴が多かった。
高摂取群の食傾向は当然だが、ファストフード、加工肉、揚げ物、甘味料入りの清涼飲料水の摂取量が多く、逆に野菜や果物、食物繊維は少なかった。
追跡期間中に死亡した335人について解析した結果、高摂取群は低摂取群より、全死亡リスクが62%高く、1日1サービング増えるごとに、死亡リスクが18%上昇することも示された。研究者は超加工食摂取に警鐘を鳴らし、課税や販売抑制にまで言及している。
ただ実際に現代社会が「脱・超加工食」するにはムリがある。せいぜい、家庭の食卓で超加工食を最小限にするのが関の山だろう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)