化粧品が接点になりサンリオに復帰
女性支援を行う社内ベンチャーを立ち上げ

――サンリオに復帰したのは、どのような経緯からですか。

 化粧品販売でせつない思いをして、「みんななかよく」を理念に掲げるサンリオの職場が恋しくなっていました。そんな時、サンリオの元同僚と会う機会があって、化粧品の話をしたところ、大人の女性に向けたハローキティの化粧品をつくってほしいと依頼されました。偶然が重なり、サンリオの関連会社に化粧品事業の研究所長として復帰しました。

 ところが、ビジネスは甘くありません。仕事は楽しかったのですが、利益につながらず撤退することになったのです。しかし、この経験を通じてマーケティングやプロモーション、イメージ戦略などを勉強できたため、結果的にはピューロランドの事業に役立ったな、と思えるようになりました。そしてこの経験から、女性支援の活動を、女性に愛されながら成長してきたサンリオだからこそやるべきだと確信を持つように。私個人としてもコーチングの資格を取得するなど、準備を進めていきました。

乳がん、子宮の全摘出……死を意識して、
残された時間や生きる意味について考えるように

――紆余曲折を経ましたが、人生にいい流れが出てきた感じですね。

 ところが、ようやく自分のミッションに向かって歩み出せると思っていた矢先……乳がんが見つかりました。発見が難しいタイプのがんを、たまたま受診した検査で見つけることができたのです。生き続けたい、そう思ったので迷わず全摘出の手術をしました。

 病魔はそれだけでありませんでした。その直後、今度は子宮も病魔に侵され全摘出することになってしましました。

 生死にかかわる大病を経て、「限りある人生、悔いなく生きよう」「すべての経験を、誰かのために役立てることができたら本望」と思うようになりました。

――想定外の大病でしたが、それで行動が制限されるどころか、むしろ活動が活発化したのですか。

 そうした思いから、乳がんの手術から数ヵ月後、2008年に検診の啓発をはじめとして女性の活躍を支援するための社内ベンチャー「(株)Nal」を立ち上げました。他にも子宮頸がんの予防啓発活動「ハロースマイル」を立ち上げたり、ラジオのパーソナリティをやったり、40代後半になってから活動の幅が広がりました。