森山議員からの一般質問に答弁する石巻市教育委員会の境直彦教育長。(2012年6月18日)
Photo by Yoriko Kato

 遺族有志が会見でも指摘していた、聞き取り記録の問題点については、6月18日の市議会の定例会で、森山市議が独自の調査も踏まえて、こう質問をした。

「色んな人に聞き取りをした中で、子どもたちから、地域の人たちから、その後、私たちが同じような人たちに聞いたけども、みなさん、必ずしも本当のことが書かれていない(と言っている)。教育委員会に都合の悪いことがすべて省かれている。そこが問題なんだということを私は何度でも指摘したい」

 聞き取り調査の記録に、行き違いや不備があると指摘されていることは、教育長も答弁で認めた。

 遺族は記録の中の多数の齟齬を指摘しているが、その一部として、議会で挙がっていたのは、主に以下の点である。

険しい表情で、境教育長の答弁を聴く大川小学校の児童遺族の家族ら。(2012年6月18日、宮城県石巻市)
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・生き残った男性教諭の証言記録と、行動を共にしたとされる児童の実際の証言が違う

・児童の送迎のために来ていたスクールバスの、運転手(死亡)と同社の他の運転手との無線交信の内容が、一部省かれているため検証が必要である

・今年2月に文書化された校長からの聞き取り記録や、覚え書きに、事実と違う点が複数ある

 遺族有志は、情報公開された文書を改めて自分たちで細かく分析し、こういった齟齬や間違い、抜けている点などを、他の遺族たちとも共有していくことにしたという。

一見、立派な検証委設置の裏にある
周囲に伝わりづらい「遺族の懸念」

 震災が起きた3月11日の午後、同校の柏葉照幸校長は、所用で学校から遠く離れた内陸部にいた。発災当初、教職員たちは、ラジオや駆けつけた保護者、地域の人たち等からの情報で、大津波警報が出ているのを知っていたことが、複数の証言からわかっている。

 市教委は、すぐに避難をしなかった理由を、(1)災害マニュアルの不備、(2)教職員の危機意識の問題、(3)安全への思い込み と、今年の1月に考察している。しかし、これらは、その場、その瞬間を語る上での背景の一部に過ぎない。