これで、業種別や規模別に見て、どんな企業で「自分の成長に繋がる修羅場経験」が得られやすいのかはわかりました。

 しかし、「修羅場経験」を得られる割合が高い業界といっても、全体として長時間残業する人が多いがゆえに、その割合が結果的に高くなっている可能性もあります。そこで、「ハードワーク率」と「育った率」の2点に分解して、分析してみることとします。

「ハードワーク率」は、残業が月60時間を超えている人の割合です。

「育った率」は、残業が月60時間を超えている人のなかで、「20代成長環境スコア」に4.0以上を付けている人の割合です。

 つまり、「育った率」が高ければ、ハードワークが良い経験となった個人が多いことを意味します。他方「育った率」が低い場合は、ハードワークが単なる過剰労働に終わり、成長機会には繋がっていないことを意味します。

コンサルティング業界で全力疾走か
IT業界でハードワークを避けて成長するか

 2つの指標をまとめたのが以下の表です。

 ハードワークが多いのはどういった業界でしょうか。「ハードワーク率」を見ると、企業規模が大きくなるほど割合は下がっていきます。しかし、「育った率」を見ると企業規模による大きな差はありません。小規模な企業では仕事の機会の多さが、結果として「自分の成長に繋がる修羅場経験」に繋がっているとわかります。

 また、業種別に見た場合にはどうでしょうか。コンサルティングとマスコミはともに、「自分の成長に繋がる修羅場経験」ができる割合が高い業種でした。しかし、分解してみると構造は大きく異なり、コンサルティングは「ハードワーク率」も「育った率」も高い半面、マスコミでは「ハードワーク率」は高く、「育った率」は平均程度であることがわかります。