また、メーカー・商社と金融は、ともに「自分の成長に繋がる修羅場経験」が低い水準にありましたが、金融のみは「育った率」は平均程度あり、仕事の機会に恵まれた個人にとっては成長の機会となる可能性は高い状態です。

 加えて、「自分の成長に繋がる修羅場経験率」では平均程度だった、IT・通信・インターネットは、「ハードワーク率」は低いものの「育った率」が高いという驚きの結果になりました。ハードな仕事をこなせば成長に繋がりやすいですが、実際はそうした仕事ばかりではありません。その意味で、IT・通信・インターネット業界は、自身のライフスタイルと相談しながら成長を追求できる魅力的な業種といえるかもしれません。

“ゆるブラック企業”が
多い業種を見える化する

 最後に、「ハードワーク率」と「育った率」をもとに、業種をマッピングしてみます。

 平均の右上に存在している業種は「厳しい仕事が多く、成長しやすい」業種です。特に「ハードワーク率」と「育った率」の相関の近似曲線よりも上側にある、コンサルティングやIT・通信・インターネットは効果的に成長できる可能性が高いといえるでしょう。

 他方、平均の左下に存在している業種は「厳しい仕事が少なく、成長しづらい」業種です。特に近似曲線の下にあるインフラ、運輸、メーカー・商社、行政機関では、20代で大きく成長できる可能性が低いことを示唆しています。冒頭取り上げたような“ゆるブラック企業”はこうした業種に多い可能性があります。

 人手不足の長期化、人生100年時代の到来、企業寿命の短期化。さまざまな課題が、個人と組織の関係をフラットなものにしようとしています。

新卒で“ホワイト企業”に入れたら、定年まで逃げ切れる時代は終わりました。自分の成長のために企業を利用する時代がきたとき、仕事選びにおいて残業時間の少なさは必ずしも意味を持たなくなるのかもしれません。

(古屋星斗)

※本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを元に制作しています