高齢化社会を迎えた中国では、住民の平均年齢が若いことが都市の競争力になっているのだ。王副市長の発言を聞きながら、そのことを再度、認識させられた。

 さらに深く考えると、すぐに次の現象に気づいた。中国の各地方、各都市間の競争のポイントは、これまでのGDPや企業誘致実績から、人口の増減という新しい分野へとシフトしている。しかも、その現象がすでに広く見られている。

人的移動のハードルを
壊した戸籍政策の大変動

 その背後には、中国の戸籍政策の大きな変動という流れがある。今年3月に発表された『2019年新型都市化建設重点任務』という文書からも、その政策変化の一端を覗くことができる。わかりやすくいえば、中国は全面的に大型都市の戸籍登録条件を緩和し、正式に全国都市化を開始する、という号令が出されたのだ。

 中華人民共和国が成立してから、中国はずっと厳しい戸籍制度を実施してきた。農村に居住している人間は農村戸籍しかもらえず、都市部への移住が厳しく制限されてきた。都市戸籍を持つ都市部の住民にとっても、規模の大きい都市への移住が非常に困難だった。

 1978年から改革・開放時代が始まって、40年以上が経った。その40年間はある意味で、これまでの戸籍制度との闘いの40年間ともいえる。経済の活性化は人的流動の活発化を促進し、さらにその人的流動の活発化は、頑なに一元的な管理の下にに置かれている戸籍制度の障壁を打ち破る作業へとつながっていく。つまり改革・開放時代の40年間は、戸籍制度の解体作業の40年間ともいえる。

 それでも、これまでの市街地の人口500万以上の都市では、戸籍は厳格に制限されていた。しかし今、その風向きは突然変わってきた。常住人口が100万~300万人の大都市では、全面的に戸籍制限がなくなり、人的移動のハードルはゼロとなった。常住人口が300万~500万人の大都市では、全面的に戸籍制限が緩和される。北京、上海、広東、深センなどの超大型都市では、「積分落戸制度」(ポイント政策)を整え、大幅に新市民の受け入れ枠、つまり戸籍枠を増加した。これらの大都市で真面目に仕事をしている人間なら、ほぼ間違いなくその都市の戸籍を確保できるようになったのだ。