在来線や地下鉄で進む
バッテリー設置

 この問題を解決したのは、バッテリー技術の急速な発展であった。電車の走行には駅の設備を動かすよりもはるかに大きい電力が必要であり、従来のバッテリーや非常用発電機では対応できなかったが、リチウムイオン電池の性能やサイズ、さらにコストの改善により、3年ほど前から実用化が始まっている。

 冒頭に取り上げた東海道新幹線N700Sの事例は、JR東海によれば「高速鉄道としては初めて非常走行用電源装置を搭載」とのことだが、東京メトロは2016年から2018年にかけて銀座線に非常走行用電源装置の搭載を開始、また今年2月から営業運転を開始した丸ノ内線新型車両2000系にも同じシステムを搭載している。

 また、JR東日本は2020年度に導入予定の横須賀線・総武快速線新型車両E235系に、同社としては初めて非常走行用電源装置を搭載する計画だ。今後の新型車両の標準装備になる可能性もあるだろう。

 非常用電源は必ずしも車上に搭載する必要はない。列車に電力を供給する鉄道事業者の変電所、つまり地上側にバッテリーを設置し、通常通りパンタグラフから列車に電気を供給する試みも進んでいる。

 たとえば銀座線・丸ノ内線の車上にバッテリーを搭載した東京メトロの場合、荒川や江戸川など長い橋梁区間のある東西線では、橋を避けて避難ができるように、橋梁部付近の変電所に非常用走行バッテリーを設置した。複々線化工事に伴い、代々木上原~梅ヶ丘間を地下化した小田急電鉄も、同区間に電力を供給する変電所にバッテリーを設置し、2018年5月から運用を開始している。また構造上、線路の上に避難ができない東京モノレールは、変電所に設置したバッテリーで全区間の列車を最寄り駅に移動できる体制を構築している。