幼児から目を離してはいけない
人は10センチあれば溺れる

◎教え6
海には「深み」しかない

 時折ニュースで「深みにはまって溺れた」という話が出てくるが、そのたびにオヤジさんは「海も川も深みがあるのがあたりまえ。油断するな」と言っていた。

「足がつくところでばかり泳いでいるから、足がつかないだけで慌てるんだ」というわけで、トモキさん兄弟は、足が絶対につかないところで泳ぎを覚えさせられた。

 ボートに小さなエンジンがついただけの小舟で湾の真ん中へ行き、泳いだ。最初は緊張し、怖かったが、慣れれば浜辺より泳ぎやすい。機会があったらぜひ、体験すべき練習法だと思う。

◎教え7
人は10センチあれば溺れる

 この教訓は、特に小さな子どもと遊ぶときに言われた。海でも川でも、自宅のビニールプールでも、倒れて顔を横に向けた場合、水深が10センチもあれば鼻も口も水面下となり、呼吸はできない。高齢者なども、具合が悪くなって倒れた場合、溺れる可能性がある。「だから決して目を離してはいけない」と、繰り返し教えられた。

◎教え8
渦の底は静かな楽園

 溺れない知恵を繰り返し教えてくれたオヤジさんだったが、それは海の面白さを味わうためのほんの基本。泳げるようになったらどんどん、「海中で遊べ」と言っていた。お勧めはなんと、渦の底(※現在の常識では、危険とされるのでお勧めしない)。

「渦の底は静かだし、誰もいかないから大きなアワビとかが採り放題(※今は昔と違って漁業権の問題が厳しい場所が多いのでNG)だ。大きな石を抱いて潜って、アワビを採って、石を置いて浮上する。楽しいぞ」

 残念ながらトモキさんは、渦の下には潜ったことはない。だが素潜りは大好きで、ゴーグルや水中眼鏡をつけて水中に入ると、海面からは想像もつかないほど美しい世界が広がっていることは知っている。

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 海水浴は、海遊びの入門編。プールでは絶対に味わえない、単に海面に浮かんで移動しているだけでは分からない楽しさが、海にはたくさんある。「昭和オヤジ」の知恵を参考に溺れないコツを学んだら、次はぜひ、海面下の遊びを体験してほしい。