フリーランスだったら
小規模企業共済とiDeCoのどっちがいいの?

銀行は教えてくれない!<br />お得な制度を使うならどれ?竹川美奈子(たけかわ・みなこ)
LIFE MAP,LLC代表/ファイナンシャル・ジャーナリスト
出版社や新聞社勤務などを経て独立。2000年FP資格を取得。新聞・雑誌等で取材・執筆活動を行うほか、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)、マネープランセミナーなどの講師を務める。「1億人の投信大賞」選定メンバー、「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」幹事などをつとめ、投資のすそ野を広げる活動に取り組んでいる。2016年7月~金融庁金融審議会「市場ワーキング・グループ」委員。『改訂版 一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門』『税金がタダになる、おトクな「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』『一番やさしい! 一番くわしい! 個人型確定拠出年金 iDeCo 活用入門』(ダイヤモンド社)『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』(日本経済新聞出版社)ほか、著書多数。
ライフマップ http://lifemapllc.com/

フカザワ:この小規模企業共済の掛金は上限7万円なので、まだ余裕があるんです。それで、iDeCo(個人型確定拠出年金)もおすすめって聞いて、これから掛金を払うならどっちがいいのかな、って。

竹川:自営業の場合、iDeCoの掛金の上限額は年間81万60000円(月6万8000円)です。小規模企業共済と合わせると年間165万6000円(月額13万8000円)まで枠がある。まあ、自営業は公的年金の部分が国民年金だけで、会社員のように厚生年金保険がないから、自分で備えましょうってことなんですよね。

フカザワ:はい。本書で、国民年金だけだと、今現在、40年加入した場合の満額でも月に6.5万円と知った時には驚きました。

竹川:みなさん、受取額を知るとびっくりしますね。

フカザワ:この積み立て額なのですが、あと1万円とか2万円とか、少し上乗せできた場合に、小規模企業共済を増やした方がいいのか、それとも、上乗せしないで、プラスiDeCoを始めたほうがいいのか…。このへんどうなんでしょうか?

課税所得の高い人が
iDeCoを先に使った方が得!

竹川:ナオコさんが自分で運用したいかどうか、ですね。iDeCoの場合には自分で商品を選んで運用していく必要がありますから。


あと、iDeCoや小規模企業共済の掛金を考える場合、世帯全体で考えたら課税所得が大きい人が優先的にiDeCoや小規模企業共済の枠をまず全部使った方が得です。

フカザワ:そうなんですか!世帯というと、具体的には私とハッチーの2人で考えるんですよね?

竹川:そうですね。そのとき、それぞれが1万円ずつ掛金を払うよりは、枠が余ってるのであれば、課税所得の高いひとりが2万円の掛金をふやしたほうがよいですね。というのも、課税所得が高い人のほうが所得税率が高いので、所得税の還付が大きくなるからです。

――あ、医療費と一緒ですね。医療費も世帯で考えて、課税所得の高い人の方が確定申告した方がいい。

竹川:そうそう。だから、二人で考えてみて、もしiDeCoをはじめるならハッチーさんは上限額が年間27万6000円(月2万3000円)、ナオコさんは年間81万6000円(月6万8000円)ありますよね。どちらが課税所得が高いかを確認して、高い方から優先的に枠を使っていくという考え方もあります。

フカザワ:なるほどー!

竹川:ただそうは言っても、人生長いから(離婚とか)何があるか分からないので…それぞれ個人で年金資産を積み上げたい!と言う方もいるので、そこはご夫婦で話し合ってもらって…。

――本書の国民年金基金の話にもありましたけど、また夫婦の愛が試される場面ですね!(笑)。

フカザワハッチーええ~、また~!?(笑)

竹川:まあ、ずっと一緒に暮らしていく、って考えているなら、課税所得の高い人の方が優先的に枠を使っていくのがキホンではありますね。

フカザワ:なるほど…。

竹川:ただ、ナオコさんはフリーランスだから、毎年所得が変わったりしますよね。ハッチーさんより課税所得が高い年も、低い年もあるかもしれない。そこは、だいたい年収が決まっている会社員の共働き夫婦とは違うんですよね。

フカザワ:確かにそうですね。

竹川:だから、ナオコさんが運用は苦手というなら、自分は長く働いて小規模企業共済で退職金を作る担当で、ハッチーさんはiDeCoに加入して運用を担当する、と分けてもいいかなとは思います。考え方次第ですね。

――でもハッチーさんがCIO(資産運用業務の最高責任者)と名付けられていましたしね(笑)

竹川:iDeCoは現状60歳になるまでしか掛金を支払えません。一方、小規模企業共済は60歳以降も加入できるし、掛金も月7万円までかけられますよね。

だから、まずは小規模企業共済を優先して、まずはその枠を全部埋められるくらいお仕事を頑張るぞ!というところからスタートしてもいいかもしれません。それで月7万円以上積み立てられるようになってから、つみたてNISAやiDeCoを検討してもいいのでは。あるいは、運用する部分については、すべてハッチーさんの担当にするのもあり、です(笑)。

フカザワ:そうなんですね。また夫婦で話し合ってみます!

竹川:はい。基本は長く続ける、ですからね。

フカザワ&ハッチーはい、今回はありがとうございました。

(完)

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