中国の米国からの輸入に関しても、同様である。こちらについては、中国が米国から輸入していたものの一部を日本からの輸入に振り替える可能性もあり、そうなれば日本も漁夫の利を得ることになるだろう。

 そう考えると、米中冷戦あるいは貿易戦争それ自体による日本への影響は、人々が考えているよりはるかに限定的なものだと思われる。

「景気は気から」が恐ろしい

 ところが、人々が「米中冷戦で、とても困ったことが起きるかもしれない。とりあえず事態の推移が見えてくるまで、設備投資は控えておこう」と考えると、世界中の設備投資が一斉に止まり、世界中の景気が悪化する可能性もある。

 設備投資に限らず、各社が生産計画を慎重化させて材料の仕入れを絞り込むだけでも、世界経済への影響は大きなものとなりかねない。

「景気は気から」であるから、悪いことが起きると人々が考えると、実際に悪いことが起きるかもしれないのである。そして、実際にそうした事態に陥る可能性は高そうだ。

 本来であれば、こうした影響は株価に大きく表れるはずである。「株価は美人投票」というのは、まさに人々の予想したように株価が動くからである。

 しかし、米国の株価は史上最高値圏で推移しており、他国の株価もその影響を受けて総じて好調である。株式市場よりも実体経済の方が影響を受けているとすれば、珍しい現象だといえそうだ。

中国からの工場移転こそ米国議会の望むこと

 米中冷戦の中国経済への影響は、どう考えてもネガティブなものであろう。すでに関税が課されている品目については、当然に輸入先のシフトが発生しているはずであるし、それ以外の品目についてもすでに生産拠点をベトナム等に移す動きが始まっているもようである。

 米国が実際に関税を課さなくても、「将来関税が課されるかもしれないから、早めに手を打って生産拠点を移しておこう」と考える企業が出てくるからである 。すでに多くの企業が米国向け輸出品の生産を中国から移管する検討を始めていると伝えられているし、そうした動きは今後も増えるだろう。