グーグルで最速仕事術「スプリント(デザインスプリント)」を生み出し世界の企業の働き方に革命を起こしたジェイク・ナップ氏。そのナップ氏が時間を最大限有効に使う「時間術」を生み出し、1冊にまとめたのが『時間術大全 人生が本当に変わる87の時間ワザ 』だ。ウェブサイトで検索すればライフハック関連のブログやコンテンツはあふれている。アプリやツールも数え切れない。『時間術大全』はそれらとは一線を画し、独自のワザを紹介している。著者であるナップ氏に直接、『時間術大全』を編み出したきっかけや背景を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)

『時間術大全 人生が本当に変わる 87の時間ワザ』著者のジェイク・ナップ
『時間術大全 人生が本当に変わる 87の時間ワザ』著者のジェイク・ナップ(Jake Knapp)氏 Photo by Airyka Rockfeller

――『時間術大全 人生が本当に変わる87の時間ワザ』では、スマートフォンのアプリを消すことや、メールの返信は遅くするなど、グーグルをはじめとするシリコンバレーの中心で働いていたエンジニアらしからぬ時間を生み出すワザを紹介していますね。

 共著者のジョン(・ゼラツキー)と私は、テクノロジーが本当に好きで、何年も業界で働いてきました。でも、この本に書いてあることの多くは、テクノロジーについてではありません。生活の中で本当に大事なことは何なのか、毎日どういったことにエネルギーと集中力を注ぐべきなのかを見つけるための本です。だから、テック業界の話題や最新のツールといったものについて、本の中では語っていません。

 もちろん、テクノロジーは生活の一部ではあるのですが、それが中心にあるわけではありません。多くの人が充実した素晴らしい1日を過ごすためのワザを考え、本にまとめました。

――ご自身のバックグラウンドとのギャップがありますね。

 ええ、確かに(笑)。テクノロジーは本当にパワフルですが、同時に私たちの気を散らすものでもあります。これは、私たちが自分のキャリアの中で見つけたことです。

 グーグルに勤めていた時に、同じチームのメンバーとテクノロジーに頼らないで、1週間あらかじめ決めた1つのことについて、毎日集中的に取り組む仕事術を試しました。これは「スプリント」という仕事術です。スマートフォンを使うのをやめ、メールをオフにして、ノートパソコンを閉じ、やると決めたことだけに集中するのです。すると、本当に重要な人々との会話が生まれて、チームのメンバーの満足度も高まるという結果が出ました。

――今、日本では働き方改革が叫ばれていて、生産性向上に国を挙げて取り組んでいます。『時間術大全』は日本にとっての処方箋になりそうです。

 私たちが「生産性」という言葉を使うとき、2つの意味があると思っています。1つは重要で大きなことを成し遂げること。ビジネスシーンで使われることが多いですよね。

 もう1つはそれとは少し違って、とにかく多くのことを片付けることです。たくさんのミーティングをこなしたり、予定をこなしたり。多くの人は、日本でもそうだと思いますが、こういう意味で使うことが多いのではないでしょうか。

 これは実は、重要で大きなことを成し遂げる上で、“敵”となります。本来やらなければならない仕事があるのに、いろいろな人から話しかけられたりすることで、それに反応してしまいます。メールで返信したり、ミーティングに参加したりといったこともあります。ただ、こうした反応をしてしまうことは、私たちにとって「デフォルト」で、 仕事を成し遂げることを難しくしています。「反応する文化」を壊さなければなりません。