グーグル式仕事術が生んだ「4大シンプル時間術」

グーグルで最速仕事術「スプリント(デザインスプリント)」を生み出し、世界の企業の働き方に革命を起こしてきた著者が、今度は、時間を最大限に有効に使うメソッドを生み出した。それをまとめたのが『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』(ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著、櫻井祐子訳、ダイヤモンド社)だ。同書はたちまちのうちに話題となり、世界16ヶ国で刊行が決まっている。
著者のジェイク・ナップはグーグルで、ジョン・ゼラツキーはユーチューブで、人の目を「1分、1秒」でも多く引きつける仕組みを研究し続けてきた「依存のプロ」だ。
そんな人間心理のメカニズムを知り尽くした2人だからこそ、同書の時間術はユニークかつ、きわめて本質を突いている。「人間の『意志力』などほとんど役に立たない」という、徹底して冷めた現実的な視点からすべてが組み立てられているのだ。
さらに、「いくら生産性を上げても、ひたすら他人の期待に応えているだけ」で、自分のためになっているわけではないという。では、このテクノロジー全盛のスピードの速すぎる世界で、人生を本当に豊かにするには、いったい時間をどう扱うべきか?
本稿では同書から、時間をつくる「メイクタイム」という時間術メソッドについて語られているハイライトを紹介したい。

「4ステップ」を毎日繰り返すだけ

 時間術「メイクタイム」の4ステップは、僕らが「スプリント」や独自の実験、読者が実際に試して得た結果などから学んだことをもとにしている(注:スプリントの詳細については、記事「グーグル式仕事術「スプリント」を今すぐあなたがやるべき理由」、書籍『SPRINT 最速仕事術』等をご参照ください)。

 1日の流れを大まかに表すと、こんなふうになる。

グーグル式仕事術が生んだ「4大シンプル時間術」

 ステップ1で、その日に優先する「ハイライト」を1つ決める。

 ステップ2で、特別な戦術を使ってハイライトに「レーザー光線のように集中」し続ける。つねにつながり続けているこの世界で、気を散らすものに打ち勝つ秘訣を紹介しよう。

 ステップ3で、時間と注意力を1日中コントロールするために「エネルギー」を蓄える。

 ステップ4で、1日を振り返って簡単な「メモ」をとる。

 各ステップにズームインして、くわしく見てみよう。

ステップ1:ハイライト
――毎日「最重要事項」を選ぶ

 メイクタイムの最初のステップでは、「何のために」時間をつくるのかを決める。毎日、その日の優先事項としてスケジュールを確保する活動(=ハイライト)を1つ決めよう

 大事な仕事(プレゼンテーションの準備など)でもいいし、家庭での活動(夕飯づくり、ガーデニングなど)でもいい。やる必要はないがやりたいこと(子どもと遊ぶ、読書など)でもいい。

 また、ハイライトは複数のタスクを含むものでもかまわない。たとえばプレゼンテーションの準備を仕上げるには「結びの言葉を書く」「スライドを完成させる」「リハーサルをする」といったタスクが含まれるかもしれない。ならば、「プレゼンテーションの仕上げ」をハイライトに選べば、必要なすべてのタスクが対象になる。

 1日中ハイライトだけに取り組むわけではないが、とにかくそれが最優先事項になる

「今日のハイライトを何にしよう?」と考えることで、自分の大事なことに時間を使えるようになり、他人の優先事項に反応してまる1日を無駄にしたりせずにすむ。ハイライトを選ぶことで、前向きで積極的な気持ちになれるのだ。

 そんな気持ちになれるように、1日のハイライトを選び、それをやり遂げる時間をつくる戦術を教えよう。

 でもそれだけでは足りない。集中を邪魔されないように、気を散らすものに対処する方法を見直す必要がある。それをするのが、次のステップだ。