女性職員は、その子どもとさり気なく言葉を交わす。子どもの表情からは、女性職員を信頼している様子が感じられる。そこに、外から「中華麺も流すぞー」という声がした。女性職員は、子どもに「行こっ」と声をかけ、2人で外に出ていった。慎重に様子を見ながら、タイミングを外さずに声がけする女性職員のさり気なさと鮮やかさに、私はただ感嘆していた。

「流しそうめん」とは言うものの、中華麺、刺身こんにゃく、プチトマト、デラウェアと、多様な食材が流され、歓声がはじける。中学生たちは、「流すのやってみる?」と声をかけられ、大喜びで食材を流す。私も勧められて、食べる側に加わった。中学生たちは、「流しますよー」「もうすぐ行きますよー」と声をかけてくれる。私がそうめんをキャッチできると、中学生から「うまい!」という賞賛の声が飛ぶ。心から楽しさを感じる。

制度の死角に入り込んだ
子どもたちを見捨てられるのか

 お腹がいっぱいになった子どもたちは、おしゃべりを楽しんだり、スマホでの対戦ゲームを楽しんでいたりする。最近のゲーム事情に疎い私は、スマホでゲームを楽しんでいた3人の中学生男子に、競いつつ協力を楽しむという、そのゲームの面白さを教えてもらった。

 楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。午後2時過ぎ、撤収の準備が始まり、子どもたちは「またねー」「次は何日だっけ」と会話しながら帰っていく。

 子どもたちが集まって楽しんで帰っていく現在は、どのように実現されてきたのだろうか。

 近年の大阪市には、格差が固定化し、子どもの貧困が拡大しているというイメージがある。しかしその大阪市は、2013年12月から、中学生のうち低所得側の半数を対象に塾代助成を行っている。上限は月1万円。対象は学習塾に限定されているわけではなく、音楽やスポーツなどの習い事でもよい。