日本活性化の布石に?「しんどい」子どもの居場所をつくる勉強会「しんどい」子どもたちの居場所づくりは、日本にとって最も効率的な投資かもしれない。東淀川区中学生勉強会が主催する夏休みイベントでは、先輩サポーターが寄付したかき氷器の周囲に、削る手・台を押さえる手が自然に集まる

東淀川区中学生勉強会が
主催するイベントの現場

 遅い梅雨明けとともに酷暑をもたらした夏は、早くも関東以北から去りつつある。現在は日本各地で、小中学生が夏休みの宿題のラストスパートに励み、あるいは終わりそうにない宿題を抱えて途方に暮れていることだろう。地域によってはすでに夏休みは終了し、2学期に入っている。

 夏休み中盤の8月初め、大阪市東淀川区の「東淀川区中学生勉強会」に見学にうかがった。生活保護世帯を含む生活困窮世帯の子どもたちを中心とした、子どもに対する学習支援事業だ。この日は夏休みのイベント企画として、「そうめん流し」が行われる予定となっていた。

 開始時刻の正午、会場の公営施設に到着してみると、まだ中学生の姿はなかった。晴天の下、屋外ではそうめん流しに使う孟宗竹の設置や大阪名物「イカ焼き」の準備が行われており、キッチンでは大量のそうめんや中華麺が茹でられていた。

 準備にあたっているのは、現在この勉強会事業を委託されている特定NPO法人「淡路プラッツ」の槇邦彦さんや、大学生サポーターたちだ。勉強会事業が発足した2013年当初、大学生サポーターはボランティアで交通費のみを支給されていたが、現在は交通費に加えて最低賃金程度の報奨金が支給されている。

 そうこうするうちに、中学生が1人、また1人とやってくる。大人も1人、また2人と増える。その大人は、徒歩10分ほどの場所にある東淀川区役所から時間休暇を取得してやってきた、現職の生活保護ケースワーカーたちだ。

 この勉強会は当初、東淀川区の直営事業で、ケースワーカーと大学生サポーターのボランティア活動によって運営されていた。委託事業となった2016年以降も、ケースワーカーたちは気軽に顔を出しているのだという。とはいえ、生活保護の現場は人手不足の影響もあり、多忙ということだ。