閣議に臨む首相の安倍晋三(中央)ら閣議に臨む首相の安倍晋三(中央)ら。内閣改造と自民党役員人事が間近に迫ってきたが、今回の人事は「攻め」より「守り」を重視した布陣になりそうだ Photo:JIJI

「8月中に行うことはない。英気を養ってほしい」。首相の安倍晋三自身が“予告”した9月中旬の内閣改造と自民党役員人事が間近に迫ってきた。ところが自民党内は一向に機運が高まらない。最大の要因は安倍が改造後の政権で何を目指しているのかが見えてこないからだ。

 自民党総裁としての安倍の残りの任期は約2年。当面の焦点は来年の東京五輪・パラリンピック前に衆院解散に踏み切るかどうかにある。一時は年内選挙説が流布したが、今は急速に萎みつつある。与党の公明党代表の山口那津男も安倍を強くけん制した。

 山口は解散が困難な理由について外交日程や、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」(10月22日)や「大嘗祭」(11月14日)などの皇室日程が立て込んでいることを挙げた。

「合間を縫って解散できるかどうか。東京五輪・パラリンピックも控え、難しいのではないか」

 その一方で来年7月30日に任期満了を迎える東京都知事選と衆院選を同時に実施する「衆・都ダブル選」説が消えない。その背景には自民党内に存在する現都知事の「小池百合子憎し」の感情がある。もはやその感情は怨念といってもいいかもしれない。

 しかし、現実問題として来年の7月24日に予定される五輪開会式直前に衆院選と都知事選を同時にやることに有権者の共感が得られるだろうか。都知事選の投開票日はほぼ「7月5日」になるとみられており、その頃は五輪の聖火が全国を回っている。五輪ムードに水を差す選挙となれば、有権者の反発が政府与党に向かう可能性は否定できない。