我が道を行くローマ・カトリック国のフランス
「経済的にうまくいっているプロテスタント、そうでないカトリック」というやや極端な区分けをするとき、例外となるのがフランスです。カトリックらしく休みはたっぷりとりますが、今のところ、国内の格差問題などはあるものの深刻な経済危機には陥っておらず、EUのリーダーであり続けています。その理由について、私の仮説は二つあります。
一つめは、フランスにはかつてユグノーと呼ばれるカルヴァン派がいて、その影響が残っているというもの。マックス・ウェーバーの著書には、ユグノーがフランス経済、資本主義の発展に貢献したという旨の記述があります。
二つめは、フランス革命という市民革命によっていち早く近代国家の基盤をつくった国であるために、政教分離の概念が非常に強く、カトリックの考えや価値観が政治や経済の場に直接的に出にくいこと。
この問題は奥深く、フランスの有識者や四〇年間フランスにかかわっている知人と議論をしても、なかなか結論が出ません。フランスに限らず宗教も文化も国のあり方も、単純化は難しいものだと改めて思います。
世界を理解するには、政治経済だけはなく、宗教、文化などを含め、深く広く考えることが必要なのです。