「革命」へ突き進む学生
大学の教室は閑散

一方で、発砲という現実を目にした抗議者たちは、それにひるみ、現場から去り、もうすぐ新学期が始まるキャンパスに帰っていくのだろうか。
香港大学のキャンパス内から眺める限り、彼ら・彼女らがすんなり帰ってくるとは思えない。授業ボイコットやストライキという動きはすでに起きている。
「光復香港、時代革命」

警察と衝突する若い抗議者たちが掲げるスローガンである。キャンパス内を含め、街の至るところで目にする。習近平政権になって以来「中国化」していく香港ではなく、社会主義というイデオロギーの下、共産党一党支配で統治される中国とは一線を画した、自由と法治が制度的に保障され、機能し、民主化の方向に向かっていく香港。それを自らの世代で、自らの行動で勝ち取ること。それこそが、自分たちが生きるこの時代に果たさなければならないミッション。
彼ら・彼女らはそれを「革命」と呼ぶ。
「先生には申し訳ないけど、いま僕たちが向かうべき場所は教室じゃない」
香港大学で政治学を学ぶ、これから3年生になる男子学生が筆者にこう言って、デモ現場へと向かっていった。
(国際コラムニスト 加藤嘉一)