スーパーがやらない
魚の「説明販売」を重視

 そして関越道南下作戦の第1弾として高崎に店舗をオープン。高崎は、栁下社長いわく「あまり生の魚が入ってこないような土地柄だった」という。東京からは遠く、新潟など日本海からも少し距離がある。

 高崎ではあまり魚を食べる習慣がなかったとみられる。地元のスーパーを見ても冷凍の魚だったり、塩干物が売れ筋商品として並んでいたという。

 そこで栁下社長は高崎店でも生魚の品ぞろえを増やして販売した。2つ目のスーパーとの逆張りは「説明による販売」だった。この魚は煮ても焼いてもおいしいとか、天ぷらにして食べた方がおいしいなどと説明しながら販売したことだ。

 魚のおいしい食べ方を教えてくれる小売店が少なくなっていたから、このサービスが受けた。「魚っておいしいものですね」と、生魚を食べる習慣が少なかった高崎でもリピーター客が増えた。

販売効率よりお客の手間
「下加工」サービス

 高崎での成功を受けて、いよいよ関越道南下作戦の本丸、埼玉県に進出した。埼玉・川口には高崎店出店から約10年後に出店している。栁下社長に言わせると、関東でも案の定という感想を持ったそうだ。

「関東のスーパーでは魚はロスになるから、ロスにならない魚、手間のかからない魚であるサンマ、サバなど売れ筋に絞っていた。難しい魚はほとんど置いていなかった」

 サンマやサバは家庭では刺し身に加工などはあまりしない。塩焼きや、せいぜい煮つけにして食べるのが一般的だ。スーパー側にとって販売は簡単であり、必ず売れる売れ筋商品ということになるのだろう。

 スーパーの魚に慣れた一般の人たちには、魚は「あまりおいしいものでないという先入観があった」という。

 そこで対面販売で説明販売をしながら、さばくのに難しい魚は3枚におろしたり、切り身にしたりするという「下加工」のサービスを展開した。

 今でこそ、スーパーでは丸物の魚の下加工をする店も増えているが、90年代当時、スーパーはまだまだ効率重視。しかし、角上魚類は「お客の側の効率」を求め商売していた。これが3つ目の逆張り経営といえるだろう。