同一人物の「捏造認めた」音声データVS「捏造否定する」陳述書

 捏造疑惑当時、ポーラ化粧品本舗(現ポーラ)取締役だった男性に、にわかに注目が集まっている。今年5月の元ナンバー2との会談で捏造を認めるかのような発言をし、その音声データが原告千壽氏から証拠として提出されたためだ。

 鈴木社長の不正の件を聞いていたかと尋ねた元ナンバー2に対し、元取締役は「全部知ってる」などと答えた。その後HD幹部から接触を受けると元取締役は、「捏造の有無は私の知るところではない」などと発言を後退させ、鈴木社長側はその旨の陳述書を裁判所に提出した。千壽氏は元取締役の証人尋問を求めているが、元取締役は出廷しない意思を示している。

 同一人物による「捏造認める」音声データVS「捏造を否定する」陳述書――。仮に結審まで元取締役の証人尋問が行われない場合、裁判官は何とも奇妙な戦いをジャッジすることになる。

同一人物の「捏造認める」陳述書VS「認めない」陳述書

 捏造疑惑当時の秘書室員(現HD子会社取締役)が、捏造を「認める」陳述書と、「認めない」陳述書を作成し、正反対の二つの陳述書が裁判所に証拠として提出されている。前者は元ナンバー2の要請で作られ、18年1月3日付。後者は鈴木社長側の要請で作られ、今年8月9日付のものだ。

 元秘書室員は、「元ナンバー2から虚偽の陳述著の作成を強く頼まれ、断れなかった」旨の説明をしているが、原告の千壽氏は作成過程を丁寧に示し、「18年の陳述書こそ真実」と立証する構え。矛盾した二つの陳述書を裁判官はどう評価するのだろうか。

 ミステリー小説のような展開を辿るポーラ遺産訴訟。2件のうち美術品に関する遺産訴訟は、9月9日の証人尋問でヤマ場を迎える。