「わかる」は「良さ・正しさ」よりも大切

直感を生み出す原動力には、人間への理解が不可欠です。
私たち人間はどんな共通の性質を持っているか、どんな共通の記憶を持っているか?
それを知らなければ、体験はデザインできません。

体験をデザインするデザイナーは、自分の感性や記憶だけにしたがってデザインしている限り、よい体験は提供できないでしょう。

もし人々に広く楽しんでもらえるポップな体験をデザインしたければ、「ユーザはどんな脳や心の性質を持っているか」「ユーザはどんな記憶を持っているか」……あくまでもユーザを起点にしてデザインするしかありません

では逆に、ユーザを起点にしないデザインとは何かといいますと……
ユーザのことを考えずに「一般的にこういうものが良いはずだ」「常識的にこれが正しいはずだ」などと「良さ・正しさ」を振りかざすデザイン……これこそが、デザイナーを待ち受ける最大の罠です。

たとえどんな名作ゲームでも、実際に体験してみるまで、ユーザはおもしろさを感じることはできません。おもしろいと感じてもらうためには、遊びかたが「わかる」までユーザを導くことが絶対条件です。

要は、「わかる」は「良さ・正しさ」よりも大切なんですね。

ところで、ビジネスの現場では「ユーザに寄り添え」という表現をよく聞きます。
一見するとすばらしい主張のようではありますが、具体的にどうすればユーザに寄り添うことになるのかという問題が残されたままになっています。

ユーザに寄り添うためには、ユーザがたどる「わかる」→「良い・正しい」という体験の順番に合わせて優先度を決めなければいけません

商品やサービスの「良さ・正しさ」を伝えるよりも、まずは商品やサービスとの関わりかたが直感的にわかることを優先すること。
これこそが「ユーザに寄り添う」の本質だと考えます。